短時間労働の国・スウェーデンに学ぶ生産性向上術(第1回)

スウェーデン流の「休憩」が短時間労働につながる

2017.02.06 Mon連載バックナンバー

 安倍総理が提唱する「一億総活躍社会」の実現に向けて、政府は「働き方改革」を立ち上げ、長時間労働の是正へ本格的に取り組んでいます。長時間残業を解決するための糸口として、ワークライフバランスの先進国であるスウェーデンが注目を集めています。

 スウェーデンでは、労働時間が短いため、帰宅ラッシュは午後4時に始まります。一般企業の夏休みは1カ月以上もあり、約90%もの男性が育児休暇を取得しています。近年では「6時間労働」を導入する会社も増えており、ますます仕事の効率化が進んでいます。

 なぜスウェーデンでは、短時間勤務を実現することができるのでしょうか?第1回の記事では、スウェーデンの伝統文化である「フィーカ(FIKA)」がもたらすビジネスへの効果を解明します。

 

1日2回のコーヒーブレイクにどんな効果があるのか

 スウェーデンにはフィーカという伝統文化があります。午後3時に会社の従業員全員が一堂に会し、コーヒーを片手に雑談をする文化です。休憩と同時に、デスクから離れて全員で雑談を楽しむコミュニケーションの場として活用されています。会社によっては、午前10時と午後3時の1日2回のところもあります。

 フィーカを日本語に直訳すると、「コーヒーブレイク」です。しかし、フィーカはそれ以上の役割を果たしています。フィーカは、他国のコーヒータイムとどこが違い、どのようなビジネス効果を生む秘訣が隠されているのでしょうか。

 

メールいらず、飲み会いらず

 まず第1に、毎日、フィーカの時間に従業員が顔を合わせるため、簡単な事務伝達を済ませることができます。「パソコンに不具合がありました」「後で見に行きますね」という、簡単なやり取りを口頭で伝えることができます。

 社内での事務的なメールや電話は、意外と時間を取られるものです。ノーザンイリノイ大学の研究によると、メールの返信に執着する従業員は、睡眠の質が下がり、仕事を休みがちになることが判明しています。このようにメール返信は、仕事の生産性に悪影響を及ぼす可能性が指摘されはじめています。

 スウェーデンでは、フィーカの時間に全社員が揃うので、社内の連絡事項を口頭で済ませることができます。些末なメール処理に追われることが減ります。ほかにも口頭での決定事項が増えるため、会議の時間も短くなります。

 第2に、フィーカは歓送迎会などを兼ねることができるため、… 続きを読む

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田中 靖子

田中 靖子

法律家ライター

東京大学卒業後、2009年に司法試験に合格。弁護士として知的財産業務、会社設立等のビジネス関連の業務を扱う。現在は海外に在住し、法律関連の執筆や講演を行っている。

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