ノーベル賞経済学者に学ぶ、リーダーのための「意思決定」学(第2回)

なぜ面接で「印象が良い人」を採用してしまうのか?

2017.02.23 Thu連載バックナンバー

 人間の意思決定は、「システム1」と呼ばれる早い思考と、「システム2」と呼ばれる遅い思考という、2つの思考によって決まる。システム1は得てして誤判断をしてしまいがちだが、システム2の力によって、その誤判断を回避することができる。

 これは、ノーベル経済学賞を受賞した心理学者であり行動経済学者でもあるダニエル・カーネマン教授が、著書「ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?」(村井章子訳、早川書房刊)にて記した内容だ。

 システム1とシステム2の違いについては前編で詳しく触れたが、実はカーネマン氏自身も、システム1の誤判断により、正しい意思決定ができないことがあったという。ノーベル賞を受賞した教授の判断をも惑わせる、システム1の力とは、一体どのようなものなのだろうか。

 

ノーベル賞受賞者さえも騙す「先入観」の恐ろしさ

 カーネマン氏は大学教授になりたてのころ、生徒が提出した2つの論文の採点を行う際、2本続けて採点していた。

 だが、やがてカーネマン氏は、2本の論文の点数が似通っていることに気づき、“もしかしてハロー効果に騙されていないか”と、自らを疑った。ハロー効果とは、ある対象を評価するときに、目立ちやすい特徴に引きずられて、その他の評価が歪められる現象である。

 そこでカーネマン氏は、全員の1本目の論文を採点し、その後、全員の2本目の論文を採点するやり方に変えた。すると、これまで似通っていた2本の論文の点数はかい離し、2本目の論文に低い点数をつけた学生の1本目の論文の点数が高いということが頻繁に発生したのだ。

 しかしカーネマン氏は、その事実を知るや、今度は1本目の論文との点数差を減らすため、2本目の論文の点数を変えたいという衝動に駆られてしまった。絶対にそうしてはならないと自分を律するのがかなり大変だった、と述べている。

 これは、ある人の論文を採点した場合、1本目がよくできていると、2本目を採点するときに、1本目の点数に引きずられてしまうという、システム1のバイアス(偏り)によるものである。システム1のバイアスは、その道の専門家ノーベル賞受賞の教授をもあざむく強者なのだ。

 

「面接では良い人と思ったけど……」もシステム1の影響… 続きを読む

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峯 英一郎/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

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ライター・キャリア&ITコンサルタント

IT企業から独立後、キャリア開発のセミナーやコンサルティング、さまざまな分野・ポジションで活躍するビジネス・パーソンや企業を取材・執筆するなどメディア制作を行なう。IT分野のコンサルティングや執筆にも注力している。
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