営業のプロが教える、一流と二流の差とは(第6回)

一流の営業マンは、顧客の要望を断る交渉力がある

2017.02.20 Mon連載バックナンバー

 「営業マンにとって、上手な『断り方』のコツについて知りたいですか?」

 この質問に対する答えで、営業マンの力量をはかることができるかもしれません。

 もしかすると「えっ?営業マンだから断っちゃだめでしょ」「顧客の要望を断ったりしたら、注文が取れないでしょ」「よっぽどのことがない限り、顧客の要求には応えようとすべきでしょ」というような疑問の声もあるでしょう。ですが、こうした反応を示しているようでは、二流の営業マンだと言わざるを得ません。

 一流の営業マンは、そうは答えません。営業というのは「交渉」です。交渉術においては、相手の要求を次から次へと飲んでしまっていてはいけないことを、一流の営業マンは知っています。

 相手に従順なばかりでなく、駆け引きが上手であればあるほど、交渉で有利な展開に持ち込めることを知っているのです。

 

勝ったのに負けたような心理になる「勝者の呪縛」

 「勝者の呪縛」という言葉があります。アメリカの認知心理学の専門家であるマックス・H.ベイザーマン氏が、交渉術について発表した言葉です。

 勝者の呪縛というのは、相手に要求を飲ませることに成功したのに、なぜか不満が残ってしまうという心理のことです。

 値引き交渉の会話でも「勝者の呪縛」を見ることが出来ます。

客「見積金額は95万円かぁ」(厳しいなぁ。税込にしてもらえないかなぁ)
業者「はい。95万円の内訳をご説明いたしましょうか?」
客「あ、いえ、それは良いんだけど」
業者「はい。なんでしょうか?」
客「これ、税込で95万円に負けてもらうってわけにはいかないですかねぇ?」
業者「わかりました。良いですよ。じゃ、95万円税込で、こちらにサインをください」
客「え!あぁ、いいんですか?」
業者「え?はい。95万円税込です。じゃ、こちらにサインを~」

 この会話では、客の値引き要望が受け入れられて、交渉で勝っています。しかし、客はあまりにもスルッと値引き要望が通ってしまったため、予想外の展開に拍子抜けしているのです。

 自分の申し出が、何の異論も反発も抵抗もなく、あまりにも簡単に受け入れられてしまうと、かえって目的達成の喜びが半減してしまいます。むしろ、少し抵抗されたり、じらされたり、一度拒まれた後に、自分の申し出が受け入れられたときのほうが、大きな喜びを得られるのです。

 顧客の価格交渉という圧力を、いとも簡単に受け入れてしまうことは、上手な交渉術ではありません。会社に持ち帰って検討させてもらい、その後に条件をつけて返答するなどの交渉を経て、要望を受け入れたほうが、交渉に「勝った」という喜びを顧客が感じることができるのです。

 

応じられないときには「うまく断る」のが交渉力… 続きを読む

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佐藤 昌弘/www.marketingtornado.co.jp

佐藤 昌弘/www.marketingtornado.co.jp

株式会社マーケティング・トルネード 代表取締役

個人事業者から上場企業までマーケティングとセールス分野のコンサルティングを提供する。著書は「凡人が最強営業マンに変わる魔法のセールストーク」等で累計50万部を超え、講演や研修も多数こなす。

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