営業のプロが教える、一流と二流の差とは(第5回)

一流の営業マンは、顧客に対し感情を隠そうとしない

2017.02.08 Wed連載バックナンバー

 私たちは誰でも、仕事をしているときに、少なからず「感情の演技」をしています。

 たとえば、ライバル他社と相見積もりになった際に、営業担当が発注者から「安いほうに発注するだけだからさ。頑張って見積もってね」と軽蔑を伴ったような笑みで言われたとします。そんな態度をされれば、相手が顧客であろうとムカッとすることでしょう。

 しかし、どれだけ腹が立ったとしても、その怒りを表に出さずに「苦笑い」をして、その場をやりすごす営業マンも多いのでしょう。そのとき、その営業マンは「感情の演技」をしているといえます。

 ほかにも、顧客から面倒な追加注文をもらった時、それほど嬉しくなくても、あえて大げさに喜びの表現をすることがあります。また、顧客から明らかに悪意のクレームを言われた時でも、感情を乱さず、ニュートラルで冷静な対応をするように職務として求められます。これらも「感情の演技」です。

 言い換えれば、ビジネスパーソンは自分の感情を抑え込んだり、違う感情を演出したりすることを、仕事として求められているのです。

 しかし、営業マンにとって、そうした「演技」は本当に有効なのでしょうか?

 

肉体労働や頭脳労働だけではない「感情労働」がある

 アメリカの社会学者アリー・ホックシールドは、1983年出版の『管理される心』のなかで、そうした“感情を演技する”労働のあり方について、「感情労働」というふうに名づけました。労働には、肉体労働や頭脳労働があり、それと同じように「感情労働」というものがあるとしたのです。

 その典型的な職業として、乗客に微笑む客室乗務員(スチュワーデスなど)があげられました。

 しかし、営業という仕事をしたことがある人ならば、「感情労働」なのは客室乗務員だけでなく、営業マンも、まちがいなく「感情労働」の仕事だと言うでしょう。

 冷たいあしらわれ方をした時や、答えられないような難しい質問をされた時、激しく値引き圧力をかけられた時などは、とても冷静でいることは難しく、つい、苦笑いや愛想笑い、ごまかし笑いという「感情の演技」をしてしまうからです。

 

「ダブルバインド・コミュニケーション」はNG

 しかし私は、営業マンにとって、「演技」が有効とは、必ずしも思いません。むしろ、下手な「演技」は逆効果だとさえ考えています。

 顧客も馬鹿ではありません。営業マンの取りつくろった表面的な「演技」など、すぐに嘘だと見抜きます。本当に嬉しいとは感じていない「表面的な喜びの演技」なんて、相手に筒抜けだと思うべきです。

 つまり、心で想っている感情と口から出ている言葉に矛盾があれば、それは… 続きを読む

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佐藤 昌弘/www.marketingtornado.co.jp

佐藤 昌弘/www.marketingtornado.co.jp

株式会社マーケティング・トルネード 代表取締役

個人事業者から上場企業までマーケティングとセールス分野のコンサルティングを提供する。著書は「凡人が最強営業マンに変わる魔法のセールストーク」等で累計50万部を超え、講演や研修も多数こなす。

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