営業のプロが教える、一流と二流の差とは(第15回)

一流の営業マンは、「仕事は仕事」と割り切らない

2017.09.04 Mon連載バックナンバー

 ある経営者の方から、以下のような相談を受けたことがあります。

 「弊社の営業は、2タイプに分かれているんです。1つはとにかく人間関係を大事にするグループ。彼らはお客様に愛されるし、後輩の育成もしてくれます。人間関係が良好なのは良いのですが、お客さんと仲良くなるばっかりで、成績が上がってきません。

 2つ目は『仕事は仕事』と割り切るタイプです。彼らは売りますね。売るんだけれども、後輩も育成しないし、チームワークも重視しない。協調性なんて関心さえ無いような様子です。

 もうこの10数年、ずっと悩んでいるんですが、営業としてはどちらのタイプがいいんでしょうか?」

 私の意見は「どちらもダメ」です。

 なぜなら、ビジネスを円滑に進めていくためには、顧客との人間関係はある程度良好である必要がありますし、なおかつ、経済的で合理的な提案ができて、契約も取ってこれる人が良いに決まっているからです。そして、この両方を備えていないと、ビッグな案件を獲得することは難しいからです。

 

「いい人」では仕事も恋愛もクロージングできない

 人間関係重視派とビジネスライク派、どちらもダメな理由について、もう少し詳しく説明します。

 まず人間関係重視派は、顧客のわがままを聞いて相手に尽くします。相手がゴルフに行きたいと言えばゴルフ場を予約し、飲みたいと言えば一所懸命いい店を探してとことん付き合う、いわゆる「いい人」です。

 ところが、恋愛でもそうですが、「いい人」はいつまでたっても「いい人」であって、なかなか関係は発展しません。なぜなら人間関係重視派は、ストレートに誘わないからです。「こうやって相手に尽くしていれば、いつかは……」と願うものの、いつまでも営業をクロージングせず、ズルズルと関係を続けてしまいます。おそらく、断られたときにせっかく築いた人間関係がダメになることを恐れているのでしょう。

 一方で、ビジネスライク派は、とにかく論理的・合理的・効率的に進めたがります。顧客に嫌われたって、商品が売れればそれでいいと思っています。「成績という結果」が出るのなら、そのプロセスにおける気持ちの交流や信頼関係なんて必要ないと考えているのです。

 彼らがそう考える裏には、人間関係ができてしまうと、無理を言われても断りにくくなることがあります。だから、最初から心の通い合いをつくらず、自分が冷静に、有利に、主導権を維持できる状態にしておきたいのかもしれません。

 つまり、人間関係重視派は「結果が出る」のを恐れており、ビジネスライク派は「感情に引きずられる」のを恐れているわけです。どちらも恐れによって、自分たちの壁が超えられないのです。

 

嫌われることを怖がる営業マンに適したクロージングとは

 では、壁を乗り越えるためにはどうすれば良いのでしょうか? まず人間関係重視派に関しては、クロージングに移る際のフレーズを用意することが挙げられます。

 人間関係重視派の営業マンに「案件をクロージングする時って何を言うの?」と聞いてみると、「たまにはお願いしますよ」「新商品が出たんですよ」程度で、驚くほど言葉を持っていませんでした。普段は饒舌なのにも関わらずです。 

 彼らは「白黒はっきりする」ことを怖がるため、私は彼らのアドバイスとして、曖昧ではあるものの、相手を確実にクロージングへと導く、以下のようなフレーズを使うよう伝えました。… 続きを読む

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佐藤 昌弘/www.marketingtornado.co.jp

佐藤 昌弘/www.marketingtornado.co.jp

株式会社マーケティング・トルネード 代表取締役

個人事業者から上場企業までマーケティングとセールス分野のコンサルティングを提供する。著書は「凡人が最強営業マンに変わる魔法のセールストーク」等で累計50万部を超え、講演や研修も多数こなす。

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