しくじりが成功を生む!失敗学のススメ(第9回)

ミスを未然に防ぐ「ハインリッヒの法則」の活用法

2017.03.05 Sun連載バックナンバー

 「ハインリッヒの法則」という言葉をご存知でしょうか。これは労働災害におけるミスの発生頻度を表した統計で、「大事故:小事故:ヒヤリ・ハット(事故に直結しかねないミス)」が「1:29:300」の割合で起こる、というものです。大事故がひとつあれば、29個程度の小事故があり、その陰には300の危うく惨事を招くようなヒヤリ・ハットがあったということです。

 この統計を、そういう発生率なら、いつか大きな事故が起きることは仕方がないと受け止めるだけでは、せっかくの法則を有効利用していません。

 今回はハインリッヒの法則をどう捉えれば、大事故を防ぐことができるのかを紹介します。

 

法則を生み出したハインリッヒは工学者だった

 ハインリッヒの法則を生み出したハーバート・ウィリアム・ハインリッヒは、アメリカ合衆国ニューヨーク州北東部に隣接するバーモント州で1880年代に生まれました。旅行保険の会社に安全技師として勤めていた彼は、1929年に同法則を発表しました。

 ハインリッヒが勤めていた時代からアメリカの保険では、条件や被保険者の履歴によって掛け金を変えており、その掛け金は、ハインリッヒのような理系の人がデータを分析しながら計算していたのです。

 私は長く、ハインリッヒの法則が1:30:300ではなく、1:29:300なのをずっと不思議に思っていました。大まかな割合を説明するのに、なぜ「29」などと中途半端な数字を使うのかがわからなかったのです。

 これは私の勝手な想像ですが、ハインリッヒという苗字から、彼がゲルマン系移民の子であったことがわかります。生真面目なかたぶつだったのかもしれません。もしかすると分析結果の小数点以下が1:29.5xx以上ではなく、1:29.4xxならば、彼にとってはあくまでも1:29だったのでしょう。

 

ヒヤリハットの放置が事故を招く

 ハインリッヒの法則をどう捉えれば、誰もが回避したい大事故を防ぐことができるのでしょうか。まず… 続きを読む

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飯野 謙次

飯野 謙次

NPO法人失敗学会 副会長・事務局長

サイドローズエルピー ゼネラルパートナー。東京大学工学系等安全衛生管理室 学術支援専門職員、消費者庁消費者安全調査委員会 臨時委員

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