しくじりが成功を生む!失敗学のススメ(第6回)

雪印乳業は、あの大失敗からどう立ち直ったのか

2017.01.29 Sun連載バックナンバー

 今から16年前、2000年6月から7月にかけて、雪印乳業が製造した低脂肪乳を原因とする集団食中毒事件が発生したことを覚えている人も多いかもしれません。

 この事件は、食中毒そのものよりも、自分たちの失敗を認めなかった経営陣の振る舞いが印象的でした。同社の経営陣は、製造自粛、回収、事実の公表を、保健所から指導されてようやく公表しますが、まだ原因が分からない状態で経営陣が自分たちの非を認めず、マスコミに対し不遜な態度を取ったことで、消費者や小売店もそっぽを向いてしまいました。

 経営陣はいい加減な原因を公表してやり過ごそうとしますが、発生から約60日後、大阪府警の調査により、真の原因が雪印乳業の製造工程にあることを特定します。この時、食中毒被害者と特定された人は、13,420人でした。

 この事件で大きな痛手を負った雪印乳業ですが、現在は組織を再編成し事業を継続させています。雪印乳業の立ち直りから、どのようなことが学べるのでしょうか。

 

2つの事件に共通する「組織文化の腐敗」

 雪印乳業はこの事件の後、お客様センターの設立や行動憲章と指針の制定などを行い、企業文化の建て直しを図ります。

 しかし、タイミングが悪いことに、今度は子会社の雪印食品でも不祥事が発覚しました。2001年、国内でも発見されたBSE牛の影響で始まった国産牛肉買い取り事業を、雪印食品が悪用。輸入肉を国産と偽って、助成金を受け取りました。これが2002年1月に新聞報道で明らかになり、雪印食品は4月に解散されました。

 この2つの事件の原因は異なるものです。集団食中毒の方は、つららが電源建屋の屋根を突き破ったことで起きた停電に対し、対応が手順どおりにできなかったことが原因でした。一方で、牛肉偽装の方は、… 続きを読む

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飯野 謙次

飯野 謙次

NPO法人失敗学会 副会長・事務局長

サイドローズエルピー ゼネラルパートナー。東京大学工学系等安全衛生管理室 学術支援専門職員、消費者庁消費者安全調査委員会 臨時委員

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