しくじりが成功を生む!失敗学のススメ(第5回)

失敗後に“管理強化”を謳う組織は同じことを繰り返す

2017.01.19 Thu連載バックナンバー

 2000年に書籍「失敗学のすすめ」(講談社刊)が発行され、2002年にはその著者である畑村洋太郎氏らが特定非営利活動法人「失敗学会」を立ち上げました。それらの情報発信もあいまって、失敗情報は包み隠さずに組織内で共有をすることが結果的には有益であるということが世の中に浸透してきました。

 しかし今でも時折、失敗情報の隠蔽に走る企業を見かけます。組織にとって都合の悪いことを隠そうとする企業は、内部の体質も同じようになってしまいます。失敗の情報を上司や、ほかの部門から隠そうとしてしまうため、同じような失敗をほかの人が繰り返してしまいます。

 失敗を繰り返す組織には、必ず“ある特徴”があります。それはどのような特徴があるのでしょうか。

 

「周知徹底」「教育訓練」「管理強化」のような美辞麗句に効果はない

 失敗情報の隠蔽に走る企業は、多くの場合、隠蔽後に少し時間を置いてから、謝罪、情報の開示という流れでことが進むようです。いったんは隠すものの、世の中の情勢を冷静に判断した議論の末に、これは正直に開示したほうがよいとの結論に達するのでしょう。少し格好は悪いですが、いたずらがばれた子供のように、いつまでも往生際が悪く隠し続けるよりは大人の対応でしょう。

 失敗を繰り返す組織は、何か問題が発生してその解決策を考えるとき、安易な精神論に頼ってしまいがちです。いわゆる「周知徹底」「教育訓練」「管理強化」の三大無策です。どれも響きのいい四字熟語なので、いかにも立派な対策を打っているように勘違いされがちですが、具体性を伴わない対策のほとんどは、持続しない人間の注意力に頼るだけで、長期的効果はありません。

 世の中がみな一線に並んで、作れば売れる、新しいサービスを市場に導入しても売れるという時代は過ぎました。今は市場をよく睨んで、売れる製品、売れるサービスを真剣に開発し、うまく売って薄い利益を重ねる時代です。失敗の温床をそのままにしているような企業は、利益を重ねられず、いずれ淘汰されてしまいます。

 

精神論の解決法では本質的な解決にはならない

 注意力で失敗を克服しようとする精神論は、なぜ改善につながらないのでしょうか。その理由は、精神論だけでは問題の本質を見極められないからです。

 精神論に頼ろうとする人は、とかく「形式」にこだわります。体育会系と言われてしまいそうですが、文化系でも頭の固い人はたくさんいます。

 ビジネスの世界でも、形が重要な場面は数多くあります。しかし、新製品や新しい企画、現状打破を考えるとき、形は… 続きを読む

全文(続き)を読む

続きを読むにはログインが必要です。

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

飯野 謙次

飯野 謙次

NPO法人失敗学会 副会長・事務局長

サイドローズエルピー ゼネラルパートナー。東京大学工学系等安全衛生管理室 学術支援専門職員、消費者庁消費者安全調査委員会 臨時委員

このページの先頭へ
Bizコンパス公式Facebook Bizコンパス公式Twitter