しくじりが成功を生む!失敗学のススメ(第4回)

しくじりは「恥」だが、訓練よりも役に立つ

2016.12.16 Fri連載バックナンバー

 人は失敗をすると恥ずかしいと感じます。しかし、失敗して、穴に隠れてしまいたくなるような「恥」の感覚を持つことは大切です。これを感じなければ、失敗をなくそうと真剣に悩むこともなく、失敗撲滅のいいアイデアも生まれません。

 失敗をしたときに感じる「恥」の感覚は、自己評価がマイナスに振れることを意味しますが、同時にプラスに振るための跳躍力を貯めている時間でもあります。恥と感じた度合いが大きいほど、跳躍力も比例して大きくなります。その力は、「避難訓練」のようなお決まりの対策よりも強いものです。

 なぜ「恥」は、訓練よりも役に立つのでしょうか?

 

お決まりの避難訓練に意味はあるのか?

 人や組織は臆病なものです。だから失敗をしないための工夫を行います。たとえば災害や事故が起こったときに、被害を最小限に食い止めるため、訓練を行います。訓練には、それなりの効果があり、社会的にも大切な予行学習です。

 しかし、訓練には限界があることを意識しなければなりません。本物の失敗は、人の想像を超えるから起きているのです。想像の限界を知りながら訓練を行うのと、手順を覚えるだけの訓練で安心してしまうのでは、いざ事が起こったときに結果が大きく違ってきます。

 地震などの防災訓練が、日本では盛んに行われています。しかし、その効果に関しては疑問が残ります。

 

人間の予想には限界がある

 防災訓練は、被害を最小限にするために、形式に当てはめた対処方法を覚えるものが多いです。あるスポーツの初心者が、最初に基本動作を覚える練習方法に似ています。何事も最初は人の真似をしながら学習しますが、それでは中級に達しても上級まで到達できません。

 人間の予想力にはそもそも限界があります。そして予想された防災訓練の内容にも限界があります。災害が起こらない日々が続くと、… 続きを読む

全文(続き)を読む

続きを読むにはログインが必要です。

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

飯野 謙次

飯野 謙次

NPO法人失敗学会 副会長・事務局長

サイドローズエルピー ゼネラルパートナー。東京大学工学系等安全衛生管理室 学術支援専門職員、消費者庁消費者安全調査委員会 臨時委員

このページの先頭へ
Bizコンパス公式Facebook Bizコンパス公式Twitter