しくじりが成功を生む!失敗学のススメ(第1回)

小さな「しくじり」の原因究明が、組織の成長を促す

2016.11.04 Fri連載バックナンバー

 失敗をするのは、誰にでもある当たり前のことです。ですが、その後の処理で、成長をする人としない人の違いが現れます。

 たとえば失敗をして落ち込んでいるときに、やさしく声をかけられると少し元気になるでしょう。ですが、“誰でもやることだからくよくよしないで次に行こう”という考えでは成長がありません。似たような状況に遭遇した場合、同じように失敗をしてしまいます。

 人間は、ある条件がそろうと決まった行動に出る癖はなかなか変えられません。その繰り返しが重なると、やがて周りの人たちからその人に対し低い評価が与えられ、信用を失ってしまいます。

 組織についても、まったく同じことが言えます。失敗をした際に関係者を集めて討議もせず、“次はがんばろう”、“気をつけよう”などの精神論的解決ですませていると、同じ失敗を必ず繰り返します。

 人でも組織でも、どうすれば失敗につながる行動パターンを変えることができるのでしょうか。今回はこの困難と思われる問題の解決を考えます。

 

失敗の原因究明には「上下関係」が邪魔になる

 まずは、なぜ失敗をしたのか徹底的に分析をすることです。これは大事故があったときの事故調査委員会と同じです。

 こうした調査委員会は、当事者の思惑や利害が事故調査の結果に影響を及ぼさないよう、第三者を招聘するのが一般的です。自分や組織の失敗を分析する時は、この第三者的視点を持つことが重要です。先入観や組織の暗黙知を排除し、「なぜ?」ということを根本から洗い出す効果が得られます。

 組織の失敗を分析するときに足枷となるのが「上下関係」です。第三者機関ではなく、自分たちが立ち上げた調査グループで原因を探るとなると、その組織のトップや組織文化そのものを失敗の原因として指摘をするのは難しいものです。しかし、それが本当に原因であるなら、包み隠さず、今後同じような失敗を繰り返さないよう変わることを求めなければなりません。

 組織のトップは、日ごろから失敗の原因分析が正しく行われるような文化を醸成し、いざ始まったら覚悟を決めて、調査グループの結果を受け入れなければなりません。

 

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飯野 謙次

飯野 謙次

NPO法人失敗学会 副会長・事務局長

サイドローズエルピー ゼネラルパートナー。東京大学工学系等安全衛生管理室 学術支援専門職員、消費者庁消費者安全調査委員会 臨時委員

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