心理士が教える、ビジネスをうまく運ぶためのテクニック(第7回)

相手の本音を聞き出す3つの心理テクニック

2016.12.19 Mon連載バックナンバー

 ビジネスでは、顧客の本音を聞き出したくなる場面が多々あります。顧客に契約の意思があるのか、ライバル社の提案はどのようになっているのか、というような商談における本音はもちろん、社内においても上司や部下の本音を聞き出したくなることもあります。だからといって、直接聞き出そうとしても、すぐには教えてはもらえません。

 聞き出すには、相手の心を開かせるフレーズや仕草を交えた会話によって、信頼関係を構築することです。今回は「この相手なら本音を語っても良いだろう」という心理を働かせるテクニックを紹介します。

 

本音を語らせる聞き方にはテクニックがある

 アメリカの心理学者S.M.ジュラードは、相手がどういう状態のときにプライベートについて語るのかという実験を行いました。実験では被験者を4つのパターンに分けて、聞き手の対応を変え、相手の発言の状況をチェックしました。

 第1パターンは、聞き手が頷き、「はい」「なるほど」などの合いの手を入れる。

 第2パターンは、聞き手が頷きや合いの手を入れるが、座るときに相手に軽く触れる。

 第3パターンは、聞き手が頷きや合いの手を入れるが、自分のことを先に話す。

 第4パターンは、聞き手が頷きや合いの手を入れつつ、座るときに相手に軽く触れ、自分のことを先に話す。

 その結果、第4パターンで接したときに、話し手が親しみを持って自分自身について語ることがわかりました。この実験で「タッチング(相手に触れる)」「自己開示(自分のことを話す)」「頷き」という3つの要素が本音を聞き出すのに重要なことだとわかりました。心理学ではこのいずれも、発言を促す要素といわれています。

 

3つの心理要素には信頼を得る秘訣が隠されている

 なぜ、この3つの要素が揃うと本音を話してしまうのでしょうか。それは、要素のひとつひとつに信頼される秘訣があるのです。

 まず「タッチング」は、類人猿のグルーミング(毛づくろい)と同じ原理です。チンパンジーやゴリラなどのグルーミングは、仲間意識を高め、心を開く効果があります。進歩した人間においても、タッチングをした人同士は親近感を覚え、発言を最も促すことができると証明されています。

 友達や顧客の好意を得るための方法として、「自己開示」があります。自己開示とは、相手に自分のプライベートに関する話をすることです。

 相手から自己開示されると、自分が信頼されているためだと感じます。信頼されるということは、自分が認められたという感覚に繋がります。好意を持てば、好意で返すという好意の返報性が作用し、おのずと自己開示されるようになります。このようにして、親密性が増して行くのです。

 そして大切なのが「頷き」です。アメリカの心理学者マタラゾの実験では、聞き手が頷くだけで発言が増加した人は… 続きを読む

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村田 芳実

村田 芳実

認定心理士

合同会社メンタルナビ代表社員。一部上場企業の広報・マーケティングの責任者を担い、日本を代表する企業を始めとして経営者の取材は150回以上。心理学を駆使して、CSやイメージアップ、顧客の囲い込み、シェアアップなど様々な企業課題を解決してきた。現在、心理学に関する書籍やWeb記事を執筆している。

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