心理士が教える、ビジネスをうまく運ぶためのテクニック(第6回)

プレゼンで聴衆者を魅了するには「ツカミ」が肝心

2016.12.05 Mon連載バックナンバー

 プレゼンは、仕事を獲得するための大きな山場です。聴衆を魅了し、こちらの言い分を納得させるためには、落語なら「まくら」、お笑いなら「ツカミ」といわれる冒頭のテクニックが重要となります。冒頭で聴衆の興味をそそり、説得力のあるプレゼンテーションを行うために、心理学的にどのような行動が効果的なのかを解説します。

 

プレゼンも漫才も冒頭の「ツカミ」が重要

 お笑いの世界では、登場とともに繰り広げるギャグのことを「ツカミ」といいますが、これは講演会やプレゼンの際に、聴衆の興味をひきつけるための話を持ち出すことにも当てはまります。聴衆がその話に耳を傾けるかは、「ツカミ」次第だといえます。無理してギャグを言う必要はありませんが、聴衆の興味に関連していることを、最初に訴える必要があります。

 たとえばプレゼンの冒頭でいきなり、「このシステムを導入しただけで、10%~20%のコストダウンに成功しています」という具合に、パワーポイントを見せながらメリットを説明するのもひとつの方法です。これは、日頃からコストダウンに苦労している人にとっては興味深い「ツカミ」になるのです。

 

なぜツカミが必要なのか?

 この「ツカミ」は、人間の記憶に深く関係しています。人間の記憶の仕組みは、「刺激⇒感覚記憶⇒短期記憶⇔長期記憶」となっています。です。

 この仕組みは、「起きた出来事をパソコンに入力する」ことと似た構造になっています。まず、人が経験した出来事の記憶が「感覚記憶」にあたり、次見聞きしたことをパソコンに打ち込むことが「短期記憶」にあたります。そして、パソコン上で上書き保存や新規保存をしてハードディスクに長期に保存させることが「長期記憶」にあたります。そうすれば、必要に応じてハードディスク(長期記憶)からデータを引き出して使用することができます。これが、記憶の仕組みです。

 聴衆者を魅了するためには、この「長期記憶」にある興味や欲求の記憶を蘇らせることが重要です。日頃から問題意識や興味を持っている事柄など、聴衆者が欲することを「ツカミ」で提示することによって、長期記憶から課題に関する記憶(出来事)が連想され興味を引くことなります。

 

プレゼンに活用できるふたつの心理理論

 長期記憶に働きかけるための心理理論をふたつ紹介します。

 まず1つ目は「ヒューリスティック」です。ヒューリスティックとは、… 続きを読む

全文(続き)を読む

続きを読むにはログインが必要です。

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

村田 芳実

村田 芳実

認定心理士

合同会社メンタルナビ代表社員。一部上場企業の広報・マーケティングの責任者を担い、日本を代表する企業を始めとして経営者の取材は150回以上。心理学を駆使して、CSやイメージアップ、顧客の囲い込み、シェアアップなど様々な企業課題を解決してきた。現在、心理学に関する書籍やWeb記事を執筆している。

このページの先頭へ
Bizコンパス公式Facebook Bizコンパス公式Twitter