心理士が教える、ビジネスをうまく運ぶためのテクニック(第13回)

リピーターを生む“神対応”の理想的な形とは

2017.03.27 Mon連載バックナンバー

 「神対応」という言葉をご存知でしょうか。ネットの世界でよく使われる言葉ですが、想像を超える手厚い顧客対応を受け手が評価する言葉です。言い換えれば「顧客感動」です。顧客が考える以上の満足を提供することは簡単なことではありませんが、それを実現することで、顧客を熱心なリピーターに変えることができます。

 本記事では、顧客を感動させたいくつかの例を元に、神対応の理想的な形を紹介します。

 

「友達だったら、どうする?」が顧客対応の判断基準

 福岡県北九州市に「バグジー」という美容室があります。この美容室は、顧客への対応に「友達だったら、どうする?」という基準を採用しています。

 この美容室に、Iさんという女性のお客さんが毎日遊びに来ていました。Iさんは成人していましたが、障がいがあり、5歳ほどの理解力しかありませんでした。Iさんにはあるスタッフが相手をしていたのですが、あるときスタッフが多忙のためIさんに対応できなくなると、Iさんはそれっきり来なくなってしまいました。

 Iさんへの対応を反省したスタッフは、Iさんに「どうして来ないの?遊びに来て」という手紙を書いたそうです。すると、Iさんの両親が美容室に訪問し、涙を流しながらお礼を言ったといいます。

 Iさんは昔から自分に来る手紙を確認するために、毎日郵便受けを覗き込んでおり、そんなところにスタッフからの手紙が届いたことで大喜び。事情を知った両親は、これまでIさんをあまり外に出さないようにしたことを反省し、どこにでも連れていくようになったといいます。そして、Iさんも両親も、バグジーでしか髪を切らないと誓っているそうです。

 一般の企業であれば、もし部下が業務に関係のない人の相手をしていたら、上司が叱りつけてもおかしくない状況です。しかしバグジーでは、顧客対応に「友達だったら、どうする?」という基準を設けているため、たとえ仕事と関係のない来客であっても、ぞんざいに扱うことはしません。それどころか、多忙で応対できなかったことを恥じて、自ら連絡するという行動に出ました。

 一見すると業務と関係のない行動が、結果的に業務につながるという好例といえるでしょう。

 

常連さんがある日から来なくなった……

 ホテルオークラにもまた、“神対応”のエピソードがあります。

 とある熟年の夫婦が、ホテルオークラのレストランに定期的に来ていました。そのことは、レストランのスタッフの中でも知らない人はいないほどでした。

 ところが、その夫妻が突然来なくなりました。… 続きを読む

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村田 芳実

村田 芳実

認定心理士

合同会社メンタルナビ代表社員。一部上場企業の広報・マーケティングの責任者を担い、日本を代表する企業を始めとして経営者の取材は150回以上。心理学を駆使して、CSやイメージアップ、顧客の囲い込み、シェアアップなど様々な企業課題を解決してきた。現在、心理学に関する書籍やWeb記事を執筆している。

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