理想の上司にみる「心のつかみ方」「心の癒し方」(第7回)

管理職が選ぶ理想の上司、北野武のビジネス観を学ぶ

2016.09.04 Sun連載バックナンバー

 「理想の上司ランキング」というと、新社会人を対象とした調査を元とするものが多く見られますが、「こんな上司がほしい」と考えるのは、何も新社会人だけではありません。上司側の人たちも「こんな上司がほしい」「こんな上司になりたい」と考えています。

 株式会社保健同仁社が今年6月に発表した「管理職と新入社員の理想の上司イメージ番付(PDF)」では、管理職が理想とする上司の資質の1位が「面倒見が良い」でしたが、そのスキルを備えた具体的な人物として「北野武(ビートたけし)」さんが挙げられていました。

 たけしさんといえば、お笑い芸人としての活躍だけでなく、映画監督としてもフランスの芸術文化勲章を受章するなど、世界的な評価を得ています。これほど申し分のない人物なのに、新入社員のランキングでは、たけしさんの名前は見当たりません。新入社員が上司に期待するイメージと管理職が上司に期待するものとではかなりの温度差があるようです。

 新入社員から見る上司は中間管理職ですが、管理職にとっての上司は、経営的なポジションの人です。たけしさんは、「たけし軍団」を率いる「殿」であり、ある意味経営者に近い存在です。現代には少なくなった「親分肌」の人物と言えます。浅草の芸人という立場から今の地位を築き上げたたけしさんは、言わば「創業社長」です。芸能界というマーケットの中で、「お笑い」というヒット商品を考え、大きな売上を獲得してきました。

 そんな彼の発言の中には、一般のビジネスにも共通する仕事に対する考え方が多々あります。名言集の中からいくつかピックアップしてご紹介します。

 

現場は大事、リーダーの意向も大事

 まずは、たけしさんの芸人としてのプライドがうかがえる発言から見ていきましょう。

 「稽古を一年やった奴と、十日舞台に出た漫才師がいたとしてさ、その実力の差っていうのは、舞台に出た奴が勝つに決まっているわけだから。稽古は駄目なんだよね。現場に出ないと」

 刑事ドラマのセリフではないですが、「事件は現場で起こっている」のです。新人研修などではさまざまな体験学習を実施しますが、実際の現場を100%理解することはできません。会社の規模が大きくなればなるほど、現場を知らない社員も多くなります。特に商品を生み出す仕事は、その原点は製造現場にあります。管理職と言えども現場を無視することはできません。

 京セラの稲盛和夫会長も、その著書の中で次のように述べています。

 「何か問題が発生したとき、まず何よりもその現場に立ち戻ることが必要です。現場を離れて机上でいくら理論や理屈をこねまわしてみても、決して問題解決にはなりません」

 長年現場で働いていても、管理職の仕事に追われていると現場の感覚を忘れがちになりますが、仕事の基本は現場です。

 もちろん、現場の声を鵜呑みにするという意味ではありません。現場の声を参考にしたうえで判断を行うことが重要なのです。映画監督として撮影の現場に立つたけしさんは、現場における判断の方法を以下のように述べています。… 続きを読む

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大貫 忠雄

大貫 忠雄

フリーライター

CMやPR映像製作を20年経験。東芝関連の映像製作会社で制作担当およびプロデュース、その後新会社の設立に参加、三菱自動車などのPRビデオを担当後、独立。NECや西武百貨店教育用ビデオな人材教育や接客マニュアルの作成、企業のイベント等も経験。現在はフリーでライティング、コピーライティングを行う。

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