理想の上司にみる「心のつかみ方」「心の癒し方」(第3回)

明石家さんまに学ぶ、部下の才能の伸ばし方

2016.07.05 Tue連載バックナンバー

 明治安田生命が今年の新入社員に実施した「理想の上司」アンケート(PDF)で、男性部門1位の松岡修造、2位の池上彰に続き、3位にランクインしたのが、お笑い芸人の明石家さんまさんでした。

 おしゃべりで明るいさんまさんに対して、会社の上司というイメージを抱かない人も多いでしょう。しかし、彼が残した名言を考えると、さんまさんほど「上司」の目線を持った人間はいません。

 レギュラー出演するラジオ番組『ヤングタウン土曜日』で、さんまさんは所属する芸能プロダクション・吉本興業からの独立を考えたことがあったものの、悩んだ結果、吉本に残ることを選んだと告白しています。彼ほどの笑いの才能の持ち主であれば、組織を出て独り立ちする道もありそうなのですが、吉本興業という巨大企業の中に所属し、若手芸人の面倒を見る「管理職」の道を選んだのです。

 今回は明石家さんまさんがテレビやラジオで発した言葉の中から、部下へのアドバイスとしてふさわしいものをいくつかチョイスし、分析していきます。

 

落ち込む人は自分を過大評価し過ぎ

 日本テレビ「踊る!さんま御殿!!」や、フジテレビ「さんまのお笑い向上委員会」など、若手芸人と絡む機会の多いさんまさんの発言からは、上司から若手へのアドバイスとしてふさわしい言葉が数多くあります。

 たとえばさんまさんは、「自分は絶対に落ち込まないタイプ」と主張していますが、その理由について以下のように答えています。

「落ち込む人っていうのは、自分のこと過大評価しすぎやねん。過大評価しているから、うまくいかなくて落ち込むのよ」

 お笑い芸人になろうとする人は、当然自分の芸が面白いと思い、芸能の世界に飛び込んできます。しかし、アマチュアとプロでは、求められる笑いのレベルが異なります。ウケると思ったギャグも空振りで、しゃべってもしゃべっても笑いは生まれません。若手はこの状況を「なんでこの面白さが分らないのだ」と観客のせいにするかもしれません。これがまさに、さんまさんが語る「自分の過大評価」なのです。

 これは、一般社会でも同じことが言えます。たとえば、優秀な成績で大学を卒業して大企業に就職した新人は、“自分はデキる”と思い込んで社会に飛び込みます。しかし、学校と社会では環境が異なります。会社から求められる仕事のレベルに戸惑いミスを繰り返してしまい、やがては自信を喪失してしまいます。いつのまにか5月病にかかってしまい、最悪の場合は退社してしまうケースもあります。

 思い違いが原因で、才能ある若者を失うのは、会社にとっても大きな損失です。過大評価しているぐらいの人間の方が、いざという時には大きな力を発揮するものです。冷静になって自分を見つめ直すことを教えてあげれば、十分に伸びていく人材なのです。

 こんな時には「何もできないから新人なんだよ」と肩の荷を降ろしてあげるのも、上司の大切な役割です。さんまさんの「自分のことを過大評価しすぎ」という言葉は、「お前は才能はあるかもしれないが、まずはできることからやるべき」という、まさに上司的なアドバイスなのです。

 

おまえは得意なものほどつまづくタイプ

 さんまさんはある程度キャリアを積んだ中堅芸人に対しても、まるで重役が中間管理職にアドバイスをするようにツッコミを入れます。

 たとえば、ある中堅のものまね芸人に対し、さんまさんはこのような発言をしています。… 続きを読む

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大貫 忠雄

大貫 忠雄

フリーライター

CMやPR映像製作を20年経験。東芝関連の映像製作会社で制作担当およびプロデュース、その後新会社の設立に参加、三菱自動車などのPRビデオを担当後、独立。NECや西武百貨店教育用ビデオな人材教育や接客マニュアルの作成、企業のイベント等も経験。現在はフリーでライティング、コピーライティングを行う。

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