「一流」になるためのビジネス理論(第10回)

離れた顧客を呼び戻したUSJの戦略とは

2016.07.30 Sat連載バックナンバー

 関西最大級のテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下、USJ)」。来場者の数は、2011年から現在にいたるまでの約5年間増え続け、今では年間約1,300万人以上の来場者がUSJを訪れています。

 しかし、最初からすべてが好調だったわけではありません。2001年の開園当初こそ年間1,100万人の来場者を誇っていましたが、翌年の2002年には700万人にまで減少。それに対する具体的な改善策も施されず、期限切れ食品提供問題や莫大な維持費コストなどが災いし、2004年にUSJは事実上の経営破綻を起こしました。

 そんな状態でありながら、USJが2015年度の年間来場者数1,300万人を突破できたのにはいくつかの理由があります。

 今回は、当時USJのマーケティングや集客業務を一任されていた森岡毅氏が、破綻寸前だったUSJがどのようにして変わっていったのかについて述べた書籍「USJを劇的に変えたたった1つの考え方」(角川書店)を元に、USJの成功の理由をひも解きます。

 

客が離れたのは「不祥事」が原因ではなかった

 本書によると、経営の危機に陥った2004年の6月、前CEOが辞任。新たなCEOとして、米ユニバーサル・スタジオで勤務していたグレン・ガンベル氏が就任しました。グレン氏が行った徹底したコストカットにより、経営破綻の危機を脱出したものの、2005年度から2010年度までの年間来場者数は、約750万~800万人前後と伸び悩んでいました。初年度の来場者が1,100万人だったことを考えると、約300万人以上の“見込み客”を逃していることになります。

 森岡氏が2010年にUSJに入ったとき、現場の従業員や役員の間で、来場者が減ってしまった原因として、二つの仮説が噂されていました。

 ひとつは「不祥事」です。USJではこれまでに、期限切れ食品を提供していた問題や、工業用水がパーク内の飲み水に繋がっていた問題などが発生しており、ブランドイメージが低下しているのでは、という噂があったといいます。

 もうひとつは、「開園当初のコンセプトがブレた」という仮説です。グレン氏は来場者を増やすために「ハローキティ」などのキャラクターや、夜に開催される電飾のパレード「マジカル・スターライト・パレード」といったイベントを導入していました。その影響で「映画のテーマパーク」という当初のUSJのコンセプトが薄れ、東京ディズニーリゾートとの差別化が弱くなってしまい、来場者を取られているのではないか、と噂されていました。実際に、当時の東京ディズニーリゾートの来場者は増加傾向にありました。

 しかし、この2つの噂に対して、森岡氏は疑問を抱きました。… 続きを読む

全文(続き)を読む

続きを読むにはログインが必要です。

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

鮎川 大

鮎川 大

フリーライター

関西で活動する営業出身のフリーライター兼ディレクター。ビジネス系のコンテンツを中心に、医療・ファッション・食品・HPのトップページなど幅広い分野に精通。またサイトの運営・管理から外注のディレクションまで一貫して請け負い、コミュニケーションを重視するのが特徴。http://writer-d.com/

このページの先頭へ
Bizコンパス公式Facebook Bizコンパス公式Twitter