結論から読み解く「嫌われる勇気」(第2回)

アドラーに学ぶ:失敗は引きずっても言葉にするな

2015.08.26 Wed連載バックナンバー

 哲学者アドラーの思想が記された『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』(ダイヤモンド社刊、岸見一郎、古賀史健著)は、一言で表現するならば幸せになるための指南書である。同書は、人は誰でも今すぐに幸せになれると説いている。そして、その答えを「共同体感覚を持ち、今、ここを生きる」としている。

 しかし、この結論にたどり着き、幸せになることは容易ではない。ではどうすればいいのか? 前回は、人が幸せに慣れない原因は、人間関係が支配を目的とした“縦の関係”になっていることが多いことを述べた。だが、他人を支配し、コントロールしようとしても、それぞれで持っている課題が異なるため、それは無意味である。自分と他者とは違うということ、つまり「課題の分離」することが必要なのである。

 今回は、どうすれば「課題の分離」ができるのかを探ってみたい。

 

幸せになるための「課題の分離」とは何か

 繰り返しになるが、『嫌われる勇気』では、幸せになれない原因を対人関係が「縦の関係」であることに起因すると指摘している。「縦の関係」とは、相手を支配する関係のこと。逆に「横の関係」とは、同じではないが相手と対等の関係のことである。幸せになるためには、「縦の関係」ではなく「横の関係」を築くことだと、同書では説いている。

 「縦の関係」を築いてしまう人間は相手を支配しようとしているのだ。言い換えると、自分ではどうしようもない他人の課題に介入することであり、本来自分で解決しなければならない自分の課題に対して、相手の介入を許してしまうことである。だから幸せになれないのだ。

 逆に「横の関係」を築ける人間は、相手と対等の立場を取るため、相手の課題に介入もしなければ、自分も課題への介入も許さない。つまり、相手と自分の「課題の分離」ができているのだ。だから自分の信じるまま生きることができ、幸せになれるのだと説く。

 人は、なぜ、どのように相手をコントロールしてしまうのだろうか。それには、劣等感と劣等感コンプレックスという概念が関わっている。

 

「劣等感コンプレックス」が自らをも欺く

 劣等感コンプレックスとは、本来、なんの因果関係もないところに、あたかも重大な因果関係があるかのように自らに説明し、納得させてしまうことをいう。課題を分離できない人は、目的を持って相手を操作しようとしている人であるが、そういう人は、実は、自分自身をもまた、目的を持って操作してしまっている。つまり、劣等感コンプレックスによって、なんの因果関係もないところに、あたかも重大な因果関係があるかのように自らに説明し、欺き、更に相手をも支配しようとしているのだ。

 たとえば、不幸を自慢する人もそうである。生い立ちなど、自らに降りかかった不幸を、まるで自慢するかのように語る人がいる。この人は、… 続きを読む

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峯 英一郎/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

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ライター・キャリア&ITコンサルタント

IT企業から独立後、キャリア開発のセミナーやコンサルティング、さまざまな分野・ポジションで活躍するビジネス・パーソンや企業を取材・執筆するなどメディア制作を行なう。IT分野のコンサルティングや執筆にも注力している。
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