結論から読み解く「嫌われる勇気」(第1回)

アドラーに学ぶ「他人の評価は気にしない」のススメ

2015.08.20 Thu連載バックナンバー

 ビジネス心理学の書籍としてロングセラーを記録している書籍の一つに『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』(ダイヤモンド社刊、岸見一郎、古賀史健著)がある。

 本著は、フロイト、ユングと並び、“心理学の三大巨頭”と称される、アルフレッド・アドラーの思想(アドラー心理学)を、青年と哲人の対話形式でまとめた自己啓発書のベストセラーである。2013年末に発売され、2014年のAmazon年間書籍ランキングで第1位、2015年1月時点で63万部を突破している。

 既に読んでいる方はご存じかもしれないが、本著は「どうすれば人は幸せに生きることができるか」ということをテーマとしている。そしてその答えとして「共同体感覚を持ち、今、ここを生きる」という結論に行き着く。共同体感覚とは、“他者を仲間だと見なし、そこに自分の居場所がある”という感覚のこと。つまり、集団の中で、いまこの瞬間を、真剣かつ丁寧にやることであると指摘している。

 確かに理想的な生き方ではあるが、これができている人はあまり多くないかもしれない。実は本著では、人間の悩みはすべて「人間関係」から生まれると定義している。たとえ何らかの集団の中にいたとしても、悩みの原因となる他者を仲間と思うことは、そう簡単なことではない。

 それではどうすれば、『嫌われる勇気』で“幸せのゴール”と定義される共同体感覚を持つことができるのか? 今回は、ある“実例”とともに考える。

 なお共同体感覚については、過去に掲載した「どうすれば会社を変えられるのか?(第3回):会社を変えるためには「嫌われる勇気」が必要」でも取り上げている。こちらもあわせてご覧いただければ幸いである。

 

「幸せになれない」原因は、支配を目的とした“縦の関係”

 本著によれば、人が幸せになれない原因は、対人関係が「縦の関係」であることに起因するという。

 「縦の関係」とは相手を操作することを目的とした関係である。そのため、誉めるという行為も「縦の関係」となる。なぜなら、それは「能力のある人が、能力のない人に下す評価」であるからだ。

 そのため叱っても誉めても、人間関係は「縦の関係」になる。これは部下育成にも、子育てにも同様に当てはまる。幸せになるためには、「縦の関係」ではなく「横の関係」、すなわち対等の関係を築く必要があるのだ。

 「縦の関係」ではなく「横の関係」を築くために最も大切なことは、他者を評価しないことである。他者の評価を気にせず、他者から嫌われることを怖れず、他者から承認されないかもしれないというコストを支払い、自分の生き方を貫くこと。言い換えると、他者の課題に介入せず、また自分の課題には誰一人介入させずに、自分の課題と他者の課題を分離し、かつ自分の信じる最善の道を選ぶことである。

 しかし、アドラーのいう「他者から嫌われることを恐れず、自分の生き方を貫くこと」とは、どのような生き方なのだろうか。その具体的な例として、元プロ野球選手の松井秀喜を取り上げたい。

 

松井秀喜の引退会見に秘められた「幸せの極意」… 続きを読む

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峯 英一郎/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

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ライター・キャリア&ITコンサルタント

IT企業から独立後、キャリア開発のセミナーやコンサルティング、さまざまな分野・ポジションで活躍するビジネス・パーソンや企業を取材・執筆するなどメディア制作を行なう。IT分野のコンサルティングや執筆にも注力している。
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