桜子が聞く!先駆者たちのワーク・ライフ・バランス(第13回)

理美容界の革命児、脱サラCEOの仕事と家庭の両立法

2016.07.20 Wed連載バックナンバー

 いつの時代も、ビジネスチャンスはいたるところに転がっているものの、それを見つけて掴み取ることは難しい。だが私の知り合いに、そのチャンスを見事に掴んだ人間がいる。株式会社ビューティーガレージのCEO・野村秀輝だ。

 今から15年余前、私は野村の後輩として同じ広告代理店で働いていた。しかし野村は2003年に独立し、理美容・エステ機器を販売するビューティーガレージを設立した。当初はわずか2名体制だったが、現在の従業員は188名で年商84億をあげ、世田谷区の桜新町に自社ビルを構えるほどに成長した。

 一介のサラリーマンだった彼は、いかにしてビジネスチャンスを掴みとり、仕事と家庭を両立しているのか。久しぶりに再会し、話を聞いた。なお後で判明したことだが、野村は近頃、取材の多くは断っており、私生活を他人に語らないらしい。後輩のために、一肌脱いでくれたのだ。

 

トレンディドラマに出てくるようなモテ男の20代

 若い頃の野村といえば、フジテレビのトレンディドラマに出てくる、仕事や恋を楽しむ広告代理店マンで、ルックスも良くセンスも優れた、いかにもモテそうな男だった。雰囲気は今も昔とそんなに変わっていない。

 だから、実は彼の生い立ちが、石川県の珠算塾の長男として英才教育を受け、将来を渇望されていたとは夢にも思わなかった。幼稚園の頃から、そろばん、書道、英会話、百人一首など習い事を毎日し、周囲からは秀才呼ばわりされていたという。

桜子「あの、大学時代に六本木のクラブで黒服をしていた、という噂は本当ですか?」

野村「ああ、本当。バイトだったから、たいしたことないんだけどね」

 当時は“チャラそう”と思っていたが、この日改めて向き合うと、野村は質問に対してあっさりするほど率直に答える、飾らない男だった。

 

大手から嫌がらせを受けるほどのビジネスモデルとは

 ビューティーガレージは、美容サロンやネイルサロンの起業や経営に必要なもの(美容商材、不動産、内装工事・集客、保険、採用)を一括販売するBtoBの専門商社である。しかし起業当時は、美容院などで使われる業務用理美容機器の中古買い取りと販売が中心だった。

野村「さまざまな事業計画書を作っていて、その中で当時は“リユース(中古)”が流行っていた。そこで水やピザ屋など考えた末に、面白い事業はこれだ、と決めた」

 当時の美容業界はメーカー、問屋、ディーラーと多層的な流通構造だったが、野村はこの構造を変えることでビジネスチャンスが生まれると気づいた。インターネットを介して、中間業者を省いた販売を行い、安さと利便性をポイントに、サロンオーナーから評価を得ていった。

 とはいえ、中古品の扱いは、売るのも買うのも含めて簡単な仕事ではない。特に美理容機器は1台80キロ以上ある。真夏にシャンプー台を相棒と2人で汗だくになってトラックまで運び、倉庫に入れ、買い手に引き渡す必要がある。野村自身、「人生で一番マッチョな時代」と振り返るように、当時は“美容”の華やかさとほど遠い、肉体労働中心の仕事で、業界のコネもツテもないから、営業もタウンページの住所に片端から連絡する原始的なものだった。

 中古機器の流通が全くない業界で、野村は困っている人に中古品を安く販売しようとしただけだが、そのビジネスは業界に衝撃を与えた。

野村「もうかなり前のことだけどね、理美容業界は古い体質だから、既得権益で潤っていた一部の企業から大変な圧力と嫌がらせを受けたんだよね」

 だが、それで野村は… 続きを読む

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元電通の文筆家兼コンサルタント、山口周の仕事術
桜子

桜子

ライター

渋谷区在住。通信会社に勤務する傍ら、働く女子の立場からWebメディアのメルマガを書き始め、IT業界の著名人にインタビューを重ねて話題となる。その後、日経ウーマンやアスキー等での連載を経て、2011年、出産を機に育児に専念。2014年4月に職場復帰し、子育てと仕事の心地良いバランスを模索中。(VIVA!桜子の超気まま渋谷/代官山・子育て日記:http://sakurako.cc/friends)

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