桜子が聞く!先駆者たちのワーク・ライフ・バランス(第1回)

サイボウズ、イクメン社長の仕事と家庭の両立法

2015.05.28 Thu連載バックナンバー

 ビジネスマンも40歳代を迎えれば、仕事にも私生活にも忙しくなる頃だ。そこで本連載ではビジネスや学問など、その道を極めた先駆者たちの仕事とプライベートの両立法を聞く。彼らの話を通して、世の流れを掴み、私たちのより良いライフスタイルのヒントを得たい。

 ここで僭越ながら筆者の自己紹介を記す。私は昨年、育休から職場復帰した通信会社の一般社員だ。タレントでも記者でもない。ただ数年前、DeNAの南場智子氏やホリエモンなどへ単身取材を重ねた過去がある。そこで、これからさまざまな有名人に、個人的にも実践が難しいと感じる仕事とプライベートの両立法について秘訣を聞き、読者の皆さんと共に学んでいきたい。

 さあ、誰に会いに行こうか。初回はワーママ(注1)の私に優しい人がいい。そうだ、イクメンとして有名な東証一部上場企業のサイボウズ社長・青野慶久氏に会いに行こう。

注1:ワーキングマザーの略。働く母親の意味。

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ただいま4時まで社長を実践中

 サイボウズ株式会社は1997年青野氏を含む3名がグループウエアのパッケージソフトメーカーとして愛媛県松山市で立ち上げ、2000年に東証マザーズ上場、2006年に東証一部上場となり、国内グループウエア市場でシェアNo.1を8年連続で獲得している。(ノークリサーチ社「2014年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」調査でのグループウェア部門による)

桜子「わが社はサイボウズのガルーン(注2)を使っています!」

青野「そうなんですよねえ。」

桜子「知っていらした?まさか取材を受けて頂いたのはそのせい?」

 その通り、という顔をした。今年1月に第三子が誕生した青野氏は、16時までの育児短時間勤務制度を半年間利用中だ。てっきり同志として育児中の私を応援してくれての取材OKだとばかり思っていた。会社のおかげとは……そりゃ、そうか。

注2:サイボウズのグループウエア製品名

 

サイボウズ社のリーダー、実は腹黒いのか?!

 サイボウズは同社の成長と共に、社長自らは文京区長に続いて育児休暇取得したことでイクメン社長として近年IT業界以外にも知られる。加えて、同社のさまざまな人事制度は注目されている。

 最長6年の育児休暇や、育自分休暇という、35歳以下の男女社員を対象に、一度退職しても最大6年以内なら職場復帰可能という制度はユニークだし、社員自らが選べる9分類の選択型人事も面白い。実際、副業OKだからとサイボウズに転職し、3枚の名刺を持つ社員もいるという。

 働きやすそうで、イクメン社長がいるサイボウズ。実際、顔を合わせると青野氏自身の座右の銘である「真剣」の文字にふさわしい真面目そうな風貌だ。

桜子 「社長の記事を読むと、毒がなさそうな人だなあ・・・と思ったんです。でも、多様な人事制度は、社員のためというよりも離職率を下げる手段だった。それに、育休を取得したのは取材される期待もあったと。実は、戦略家?!」

 意地悪く覗き込むと、「基本、計算高いですよ。」と青野氏が神妙に頷くので、「はい、そう思いました。」と私も大まじめに応じた。

青野 「いろいろ計算しながらやっているかもしれませんね。腹黒い感じです、はい。」

桜子 「それが染みついているから凄いです!」

 社長が吹き出して笑った。いや、なぜ私がそう言ったかというと生来の気質がそうと思える出来事を聞いていたからだ。中学時代、先生から漢字をノートに半ページ書く宿題を出された青野氏は、「そんなのムリやしアホらしい」といって、目的は何かを考えて、一日一文字を暗記した。そして宿題は3文字だけ書いた。その結果、黒板の前で叱られたという。

青野「半ページ同じ漢字を書き続けるみんながすごい。僕はモチベーションを振り絞って書いた。ホント、マジでやっていましたからね。バカですよね。」

 目標の達成に向けて無駄を省き最小のエネルギーで実現する方法を、自然と考える子どもだったという。

 

社長になって死にたくなったことも

桜子「自分で考えるようになったのは親御さんの影響でしょうか。」

青野「そうですね。僕、家で勉強しなさいと言われたことがない。宿題をせず、先生が親に注意しても親は言わなかった。それって凄いことですよね。」

桜子「では青野社長の教育方針もご両親と同じ?」

青野「基本は『自分でやりなさい』。僕の基本方針は、社員にも同じ。好きに生きろ。みな、好きに生きてくれ、俺のせいにするな。」

 そう言って、笑った。

 社長として順調に歩む青野氏だが転機を尋ねると思いがけない言葉が返ってきた。社長就任の一年後だ。… 続きを読む

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桜子

桜子

ライター

渋谷区在住。通信会社に勤務する傍ら、働く女子の立場からWebメディアのメルマガを書き始め、IT業界の著名人にインタビューを重ねて話題となる。その後、日経ウーマンやアスキー等での連載を経て、2011年、出産を機に育児に専念。2014年4月に職場復帰し、子育てと仕事の心地良いバランスを模索中。(VIVA!桜子の超気まま渋谷/代官山・子育て日記:http://sakurako.cc/friends)

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