歴史と経済哲学の象徴 世界の通貨(第1回)

実は民間発行?知られざる基軸通貨「米・ドル」

2015.03.18 Wed連載バックナンバー

 為替市場では「有事のドル買い」と呼ばれ、大きな紛争や戦争が発生すると、米ドルが買われる。世界中からこれほど信頼されており、日本人にとっても一番親しみがある外貨だが、実は知られざる裏側がある。

 2回に分けて送るこのシリーズでは、世界の二大通貨とされる米ドルと欧州ユーロを取り上げ、知っているようで知られていない通貨の有り様を紹介する。

 

供給量は世界40兆ドル! ナンバーワン通貨の基本

 世界の基軸通貨となっている米ドルだけに、供給量は桁外れに大きい。特に近年は増加が著しく、2000年には6兆ドルだったのが、2015年には40兆ドル前後となっている。ちなみに日本銀行が発行する「円」は240兆円程度(2014年)なので、ドルに換算すれば約2兆ドル、米国の20分の1程度である。

 経済規模の差をあらためて思い知らされるような数字だが、米ドルには米国以外の国でも流通しているという事情もある。パラオ・マーシャル諸島など米国と自由連合を結んでいる国はもちろん、エクアドルやパナマなどの7カ国も公式に同通貨を利用する。それ以外にもカンボジアやジンバブエなど政情不安があった国で、非公式に使用されている例もある。

 そんな米ドルだけに、紙幣や貨幣の種類は数多い。一般的に米国内で見かけることが多いのは1ドル、5ドル、10ドル、20ドル紙幣だが、他にも2ドル、50ドル、100ドルなどの紙幣もある。同じく硬貨もよく見かける1セント(セントはドルの100分の1)、5セント、10セント、25セントの他、50セントや1ドルなども存在する。

 

リンカーンの死にも関係? ドルの歴史は闇深し

 ドルは元からアメリカ全土の通貨というわけではなかった。米国は日本と違い、州の自治権が強いことで知られている。英国の植民地だった時代には、通貨もかつては州単位で発行されていた。ちなみに当時から米国通貨は「Dollar」と呼ばれていたが、これはかつてドイツで品質の良い通貨として有名だった銀貨「Thaler(ターラー)」にちなんだネーミングとされている。

 1775年、独立戦争に勝利したことで植民地時代が終わると、初代ワシントン大統領政権は合衆国銀行を設立して、全米の統一通貨となる米ドルを発行する。この時民間の資本に頼ったことが、現在も続く巨大な民間金融機関と米政権との関係のきっかけとなった。

 ただ、この体制も長くは続かない。… 続きを読む

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谷垣 吉彦/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

谷垣 吉彦/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

フリーランスライター

アダルト層向け商品の販促プランニングや、経営・医療系書籍の企画・立案・執筆など、幅広い分野でライターとして活動する。大阪ミレニアムミステリー賞を受賞するなど、エンターテイメント分野での実績も評価されている。

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