ビジネスの局面で使える知識、使えない知識(第2回)

「トヨタ式カイゼン」で本当に改善できるのか?

2015.03.24 Tue連載バックナンバー

 みなさん、こんにちは。ファイナンシャル・プランナーの横山です。

 「ビジネスの局面で使える知識、使えない知識」、第2回は、トヨタ自動車が導入している経営術「トヨタ式カイゼン」にスポットを当ててみようと思います。

 今や、「カイゼン」という言葉が通じる海外企業もあるほど、トヨタ式の改善方法は世界中のあらゆる業種の会社に取り入れられています。ただ、本当の意味で「トヨタ式カイゼン」を理解している人はあまり多くありません。また、実行に移すのも非常に難しいことです。
 特にうまくいかないことが多いのが、オーナー企業の場合です。そこで今回は、オーナー社長が見落としがちな、「トヨタ式カイゼン」を導入する時の注意点をお話ししましょう。

 

よくある間違ったカイゼンとは?

 トヨタ式カイゼンとは、第二次世界大戦前に世界を席巻していたアメリカのフォードにおける自動車の生産方式を、トヨタが独自に発展させたものです。

 その柱となる2つの考え方は、部品在庫を極力持たない「ジャスト・イン・タイム」と、従業員が自ら考えて働く「自働化」です。さらに細かいところまで見ると、無駄をなくすための視点をまとめた「7つのムダ」や、整理整頓などができていなければ生産性はアップしないということを表した「5S」などの考え方が凝縮されています。

 ただ、トヨタ式カイゼンの柱のひとつである「自働化」をしっかりと理解できていないために、改善がうまくいかないケースが多いのが実情です。

 本稿では、本当の意味でトヨタ式カイゼンを実現するために不可欠な「自働化=ひとりひとりの従業員が、自ら考え、仕事をするようになること」ができるようになるためのポイントに絞ってお話します。

 まず、よくある間違ったカイゼンのケースを2つ紹介しましょう。

【ケース1】

 カイゼンを全社的に実施するため、各部門の責任者を集めた会議で社長がこう発言した。

「我が社でも、トヨタのようにカイゼンをし、より強い会社としたいと思う。そこで、君たちの部門で改善すべきことを3つずつ挙げてもらう。そして、その問題点を1か月以内に解決して報告するように!」

 改善すべきことや改善方法を自ら考えられるようにすることが「トヨタ式カイゼン」です。しかし、これではただの「カイゼンの押し売り」です。

 各部門からは、比較的簡単に改善できそうな問題点が挙げられ、「万事、解決できました」と報告が来るだけ。怒られないように改善できたふりをするだけで、会社の本質は変わらないでしょう。

【ケース2】… 続きを読む

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横山 研太郎

横山 研太郎

ねこのてFP事務所 代表

富士通株式会社退職後、メーカーの経営サポート等を行う。現在は、ファイナンシャル・プランナーとして、資産運用を柱としたアドバイスをするだけでなく、学生への金融教育にも取り組んでいる

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