観るだけでためになる、名作ビジネス映画傑作選(第1回)

傲慢な英雄に奮える!映画『スティーブ・ジョブズ』

2015.01.09 Fri連載バックナンバー

 いまや世界中で人気を博しているアップル社(Apple.inc)の製品。日本でも、新商品が発売される度に、専門店の前には熱狂的なファンたちが徹夜で列を作り、開店とほぼ同時に商品を手にした人から歓喜の声があがる。アップルはそんな社会現象とも言われる状況を生み出した。

 今回紹介する映画『スティーブ・ジョブズ』(2013)は、アップルの設立者の一人、スティーブ・ジョブズの半生を描いた作品である。2011年に56歳という若さでこの世を去り、その死を世界中で惜しまれた彼は、いかにして未来を切り拓いてきたのか。

 

天才であり、傲慢な実業家の波瀾万丈な人生

 映画は1974年、ジョブズがアメリカ・リード大学を中退した頃から描かれる。大学時代の彼は、裸足で構内をふらついたり、お風呂に何日も入らなかったり、親の金で学位を取ることに何の意味があるのかと、教授に反抗してみたり。常に既存のルールに従わず我が道を行く彼は、周囲からわがままで傲慢と言われていた。

 そんな彼が、友人たちを自宅のガレージに集めて創ったのが、アップルコンピュータだった。そして、わずか4年という早さで上場を果たし、若き実業家として華々しい道を歩み始めた。

 しかし、その独裁的でときに非情な性格は、いつの間にか敵をつくり、やがては会社から追放される事態に陥ってしまう。人生最大の挫折を迎えてもなお、ジョブズは挑戦することを諦めなかった。

 ジョブズを演じるのは、女優のデミ・ムーアと結婚していたことで知られるアシュトン・カッチャー。モデル出身の二枚目俳優なのだが、本作では髪を剃りヒゲを伸ばし、まるでジョブズ本人が蘇ったような風貌に。役作りのためにジョブズ本人の映像を研究し、独特の歩き方や振る舞いを学んだほか、ダイエットも敢行した。そのなりきりっぷりは一見の価値あり。

 

類似品ではなく、小さくても記憶に残るものを創る

 波瀾万丈の人生を歩んできたジョブズだけあって、見どころは盛りだくさん。自信満々の交渉シーンや、敏腕な経営者や投資家たちに一目置かせるカリスマ性が描かれる一方、インドへの放浪旅行やドラッグ摂取といった自由奔放な生活スタイルや、友人や社員たちに対する暴言、娘の認知をめぐる家庭問題なども映し出される。

 しかし、この映画の最大の見どころは、彼がアップルを世界一のブランドに育て上げるまでの挫折と挑戦、そして自分たちが手がける製品に対して徹底的にこだわった姿を描いたことだ。… 続きを読む

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早川 すみれ

早川 すみれ

フリーライター

インタビュー記事から大手企業の社内報企画・制作、企業のホームページコンテンツの企画や広告コピーまで幅広く手がけるフリーライター。

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