ホテル評論家・瀧澤信秋の「出張するならこのホテル!」(第30回)

ホテル評論家が指摘「民泊」の普及を妨げるものとは

2016.01.29 Fri連載バックナンバー

民泊事業の違法状態

 昨年来、ホテル・旅館業界でクローズアップされている「民泊」(空き家、空き部屋などを活用し旅行者を有料で泊めること)。訪日外国人客の増加で宿泊施設不足が叫ばれる中、都市部や人気観光地では、宿泊需要に食い込もうとする民泊が、裏でじわりじわりと広がりを見せている。

 “裏で”というのも、ほとんどの民泊は法令に違反しているという実態があるのだ。

 民泊がにわかに注目を浴びたのが、2015年11月に京都で違法民泊が摘発された事件。業者がマンションを借り上げ、旅館業法の許可を得ず中国人旅行客へ宿泊施設として提供し、料金を受領していた。料金を受領して継続的に宿泊営業を行う場合は、旅館業法の許可が必要。許可を得るためには、造作や設備などさまざまな条件を満たす必要がある。しかし、一般の住宅やマンションがそれらの条件を満たすことは困難で、許可を受けない違法民泊営業が横行しているのだ。その数、全国で2万カ所ともいわれている。

 今回は、民泊が抱える問題とその普及のポイントについて、ホテル評論家の観点から分析してみる。

 

国家戦略特区に認定

 政府が推し進める“観光立国”。日本政府観光局(JNTO)によると2015 年の訪日外客数は1,973万7千人と、「2020年までに2,000万人」という目標はかなり前倒しで達成しそうだ。

 一方、旅行者の受け皿である宿泊施設は都市部や人気観光地で不足しているのが実状。そのような状況の中、政府は「国家戦略特別区域諮問会議」で、新たに民泊等14の事業を認定し、民泊が解禁された。国家戦略特区に指定された大阪府は、全国に先がけて民泊条例を可決、続いて東京都大田区も条例を可決した。

 ただし、国家戦略特区で定められている条件は、… 続きを読む

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瀧澤 信秋

瀧澤 信秋

ホテル評論家、旅行作家

All About公式ホテルガイド。ホテル情報専門サイトHotelers編集長。日本旅行作家協会正会員。利用者目線やコストパフォーマンスを重視する取材を徹底。その忌憚なきホテル評論には定評がある。フィールドは、ホテルステイからホテルグルメ、ホテルにまつわる社会問題までと幅広い。テレビやラジオ、雑誌などの露出も数えきれず、業界専門誌への連載も手がけるなどメディアからの信頼も厚い。また旅行作家として旅のエッセイなども多数発表、ファンも多い。2014年は365日異なるホテルにチェックインし続ける「365日365ホテル」を実践中。

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