あなたの知らないネットの「裏」の世界(第1回)

サイバー犯罪の巣窟「ダークウェブ」とは何か?

2017.10.16 Mon連載バックナンバー

 「ダークウェブ」という言葉をご存じでしょうか? 最近テレビや新聞でも報道されることがあるので、聞いたことがある人もいるかもしれません。

 その名から連想される通り、インターネット上の「闇」とも言える部分であり、サイバー犯罪者が活発的に利用しています。このダークウェブでは、非合法商品を扱うECサイトがあります。麻薬や銃器といった物騒なものから、盗まれたクレジットカード情報や大量の顧客情報、企業のデータベースなども販売されています。

 「銃器の売買」と聞いても、あまり身近な危険性には思えないかもしれません。しかし「自社の機密情報が勝手にダークウェブで売買され、顧客に対して標的型攻撃や大量のスパムメールが送られた」といった事態も起こり得ます。ダークウェブはネットの日常に潜むリスクなのです。

 ビジネスパーソンであれば、リスクマネジメントとして「ダークウェブ」がどんな場所であるか知っておく必要があります。今回は全3回に分けて紹介します。

 

普通にアクセスできないインターネット

 いわゆる一般的なインターネットは、ChromeやFirefoxといったブラウザーを使えばアクセスできます。これらの場所を「サーフェスウェブ(表層ウェブ)」と言います。サーフェスウェブの下にはアクセス制限があったりGoogleの検索結果でたどり着けない場所があり、ここは「ディープウェブ(深層ウェブ)」と呼ばれています。具体的にはSNSの個人ページや特定の利用者向けのデータベースなどです。

 さらにその下の階層が「ダークウェブ(闇ウェブ)」と呼ばれる世界で、特殊なソフトを利用しないとアクセスできません。

 ダークウェブの主な通信方法は「Tor(トーア)」「I2P」「フリーネット」の3つがあり、それぞれ独立しています。この中でいちばん使われているのが「Tor」です。

 Torに関しては第3回目で詳しく説明しますが、「オニオンルーティング」と言われる、複数のリレーサーバー(通信経路を匿名化するためのサーバー)を中継することで、通信の匿名性を保つ技術です。ダークウェブはこのTorネットワークの中に存在します。

 ダークウェブの特徴の1つが、この強力な匿名性です。

 ダークウェブに使われているTorの仕組みは、米海軍調査研究所で生まれました。インターネットを使って活動する際に、身元を隠して動ける仕組みがアメリカに必要だったからです。その後、オープンソース・コミュニティーの人間たちが、Torの開発を受け継ぎ、ネット上のプライバシー保護や自由に活動するための技術としてブラッシュアップし、協力者も増えていきました。

 しかし、この強力な匿名性に犯罪者たちが目をつけます。… 続きを読む

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岡本顕一郎

岡本顕一郎

サイバーセキュリティ企業スプラウトのリサーチャー。白夜書房から発行されていたセキュリティ雑誌『ハッカージャパン』の編集を経て、2014年よりスプラウトの立ち上げに参画、ダークウェブを中心に、最新のサイバー犯罪の調査を行っている。

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