新規事業を成功に導く仕組み(第1回)

リクルートはなぜ新規事業を次々と生み出せるのか

2017.09.01 Fri連載バックナンバー

 変化のスピードが速い現代社会において、既存の事業に加え、新規事業を生み出すことの重要性が高まってきています。とはいえ、新規事業を企業の大きな収益源になるまで育てることは、簡単なことではありません。

 新規事業の開発に苦戦する企業が多いなかで、「ゼクシィ」や「スタディサプリ」など、次々と新規事業を創出しているのがリクルートです。大多数の企業とは違い、なぜリクルートは継続して新たなビジネスを生み出せるのでしょうか。

 その要因は、同社の仕組みやフレームワークにある、ということが『リクルートの すごい構“創”力 アイデアを事業に仕上げる9メソッド』(日本経済新聞出版社/刊)というビジネス書の中で指摘されています。リクルートならではの「新規事業メソッド」とは何なのか、本書から読み解いていきます。

 

新規事業がうまくいかない企業には共通点がある

 本書を執筆したのは、ボストンコンサルティンググループ日本法人の代表を務める杉田浩章氏です。杉田氏は長年コンサルタントとして仕事をする中で「新規事業が生まれない」と嘆く企業には共通点があり、それが表面化して複数の症状がでていると気づきました。その症状を回避する工夫を組み込んでいることが、リクルートの特徴だといいます。

 杉田氏は新規事業がうまくいかないに見られる代表的な症状として、【1】PDSサイクルの「P」に時間をかけすぎる、【2】計画が変えられない、【3】時間をかけて計画を立てる割に、ツメが甘い、【4】当事者も、経営陣も本気でない、【5】うまくいかなくなったとき、撤退の決断ができない、という5つを挙げています。

 【1】のPDSサイクルとは、「Plan : 計画 / Do : 実行 / See : 検証」を繰り返して課題解決を図るマネジメント手法のことで、「Pに時間をかけすぎる」は「計画段階で多くの時間を費やす」という意味になります。つまり、計画ばかりで実際にスタートする新規事業の数が少なくなり、その開始時期も遅れてしまうことで、新規事業の成功確率を下げてしまうことになります。

 また【2】のように計画をガチガチに固めてしまうと、柔軟な軌道修正や撤退の決断がしづらくなるというデメリットを生む原因にもなります。

 杉田氏が最も問題氏するのが【4】です。新規事業に失敗する根本には、当事者や経営陣の「本気度の低さ」があるというのが杉田氏の考えで、次のステップに進む条件や、ビジネスモデルの設計が甘いプランも多いといいます。経営者側に「上がってきたアイデアを磨く」「新規事業を生み出す人を育てる」という発想がなければ、社員の本気度はあがっていきません。

 

リクルートの最大の強み「リボンモデル」

 一方リクルートでは、なるべく多くの新規事業の種を見出し、それを磨き上げる仕組みや継続的に成長させる手法を持ってして、多くの企業が陥る問題を回避しています。その仕組みや手法の軸となるのが「リボンモデル」です。

 リボンモデルとは、… 続きを読む

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矢野 慎二

矢野 慎二

フリーライター

IT系スタートアップでマーケターとして働いたのち、フリーのライターに。現在は地方からリモートでビジネス全般や新しい働き方、最新のテクノロジー動向などを中心に取材、執筆している。

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