実例に学ぶ、失敗しない「新規事業」の始め方

新規事業は「ランチェスター戦略」で勝つ

2017.08.18 Fri連載バックナンバー

 既存事業では「強者」の大企業も、新規事業では「弱者」からのスタートです。超一流企業が社運を賭けて挑戦した新規事業が、先行する社員数人のベンチャー企業に負けることは珍しくありません。これは、新規事業に向き合う大企業が一度は突き当たる悩みです。

 しかし、「弱者」からスタートしなければならない新規事業であっても、勝ち目はあります。それを教えてくれるのが、経営戦略の代表的理論であるランチェスター戦略です。

 ランチェスター戦略の2大法則を理解することで、たとえ後発の新規事業であっても「弱者」にチャンスが見えてきます。

 

ランチェスター戦略に学ぶ新規事業のつくり方

 ランチェスター戦略とは、イギリスの航空技術者フレデリック・ランチェスターが発見した軍事理論です。この理論を用いると「戦力=兵士の量×武器の質」という方程式に基づいて、ある2つの戦力がぶつかった時の戦果を、数理的に予測することができます。

 ランチェスターが発見した法則は、現在では経営戦略の代表的理論としても広く応用されており、新規事業においても重要な示唆を与えてくれます。その法則とは「集中効果の法則」と「一騎打ちの法則」です。

 

大企業は「総合力」で対抗すべし

 ひとつ目の「集中効果の法則」は、同じ「質」の武器を持つ戦力同士が戦った場合、兵士の「量」が多い方が圧倒的に有利に働く、という法則です。たとえば、A軍10人とB軍5人が戦った場合、A軍の生き残りは「10人-5人=5人」ではなく、「10人の二乗-5人の二乗=√75=約8人」になります。

 新規事業においても、いかに大企業としての総力戦に持ち込むかが重要なポイントです。新規事業単独で見ると、先行する競争相手の方が様々なリソースを持っているかもしれませんが、既存事業を含めた企業全体のリソースで見ると、もっと大きな総力戦に持ち込める可能性があります。

 総力戦の典型例が、ブランドコングロマリット企業であるLVMH(モエヘネシー・ルイヴィトン)です。ファッションと酒類からはじめた同社は、時計、ジュエリー、香水、化粧品、免税店と次々に新規事業を手掛けてきました。しかし、時計ひとつとってもスウォッチグループなどの強力な競争相手が存在するため、新規事業単独では「弱者」に過ぎませんでした。

 そこでLVMHは、既存事業での強みを活かした総力戦を展開します。たとえば、… 続きを読む

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吉江 宣慶

吉江 宣慶

経営コンサルタント

外資系コンサルティングファームのプロジェクトマネージャーとして、大企業を中心としたビジネスモデルを変革する新規事業立ち上げのハンズオン支援、大企業×ベンチャーのコラボレーションを促進するM&A戦略の立案、デジタル業界などのニューエコノミーのビジネスデューディリジェンスを得意としている。

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