「データ分析」が組織を強くする

Uberに学ぶ“リアル”な需要曲線の作り方

2017.08.31 Thu連載バックナンバー

 スマートフォンの普及によって、さまざまなマッチングサービスが広がっていますが、スマホを使って配車を依頼し、一般のドライバーが迎えに行くという斬新なサービスを行っているのが「Uber(以下、ウーバー)」です。

 ウーバーはその仕組みに加え、料金体系も斬新でした。タクシーのように一律ではなく、ドライバーが少ないときには高く、配車の需要が少ないときには低く設定することで、ドライバーと利用者の双方の利用意欲を刺激しました。

 ウーバーの運営会社であるウーバーテクノロジーズは、この料金設定における需要と供給の関係を、データで明らかにしました。価格をどれだけ高くすると、申込みがどれだけ減少するかという“リアル”な因果関係を、データを用いて導き出したのです。

今回は、伊藤公一朗『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』(光文社新書,2017年)に掲載されている事例から、ウーバー社がどのように需要と供給の因果関係を導き出したのかについて紹介します。

 

割増率を見てオーダーを取りやめるユーザーはどれくらいいるのか

 ウーバーでは、先に触れたとおり、配車の需要の状況に応じて料金を変化させています。需要に対して供給が足りていない場合は料金は高くなり、通常よりも2倍以上も高くなるケースもあるといいます。

 しかし、値段を高く設定しすぎても、利用するユーザーがいなければ意味がありません。そこでウーバーでは、“価格の上げ下げによって利用者の数がどれだけ変わるか”という、企業の利益を最大化するために欠かせない「需要曲線」を明らかにするプロジェクトを、シカゴ大学と開始しました。

 本プロジェクトで需要曲線を調べるために用いられたデータの1つが、ウーバーのアプリの情報です。ウーバーの利用者は、スマートフォンのアプリで配車をリクエストしますが、その際、自分の位置とドライバーの位置とともに、目的地までの料金や割増率(割引率)も表示されます。この段階ではまだ配車処理は完了しておらず、ユーザーは割増率を元に、ドライバーを呼ぶのか呼ばないのかという最終選択をする必要があります。

 プロジェクトでは、この「実際に画面上に表示された割増率を目にしたユーザーが、利用したのか、しなかったのか」というデータを、需要曲線を推定するために活用しました。

 

他社にはない“リアル”な需要曲線の作り方

 この調査でもう一つの鍵となるのが、… 続きを読む

全文(続き)を読む

続きを読むにはログインが必要です。

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

鈴木 健治

鈴木 健治

特許事務所ケイバリュエーション 所長 弁理士

経済産業省産構審小委員会の臨時委員、(財)知財研 知的財産の適切な活用のあり方に関する委員会委員などを歴任。著書に「知的財産権と信託」『信託法コンメンタール』(ぎょうせい)、論文に「知材重視経営を支えるツール群に関する一考察(月刊パテント)」などがある。取引先の経営者・担当者にビジネス書の書評をお届けしている。公式サイト:http://kval.jp/

このページの先頭へ
Bizコンパス公式Facebook Bizコンパス公式Twitter