企業は社会にどれだけ価値を創出しているか(第2回)

CSRは「余ったお金で良いことをする」ではない

2017.08.24 Thu連載バックナンバー

 企業が自社の社会的責任を認識し、その責任を果たすために自社のリソースや強みを活かすCSR(Corporate Social Responsibility、企業の社会的責任)が、会社の成長戦略には欠かせないものとなっています。第1回目では、投資家の興味が、単なるCSRではなく「本業を通じたCSR」にシフトしている点について紹介しました。

 ここで気になるのが、投資家がCSR活動をどのように評価しているかということです。今回はCSR活動が実際にどのような方法で評価され、企業がどのように対応しているかを紹介します。

 

企業泣かせのグローバルなCSR調査

 グローバルでのCSR活動に力を入れている日系企業の担当者に「CSRの業務で大変なことは?」と質問をしたら、大半が「アンケート対応」と回答するでしょう。

 このアンケートは、調査会社や格付け機関が、各社のCSR活動、すなわちESG(環境、社会、ガバナンス)の3側面の取り組みを調べるためのものです。一般的には調査会社のアナリストが、CSR報告書などの開示情報をもとにレポートを作成するのが一般的です。

 調査会社はこのレポートを企業に送付し、「この内容に、間違いまたは付け足しでアピールしたいことがあれば、○○月××日までに連絡ください」と伝えます。企業はレポートを見て、データが最新の内容になっているか、漏れがないかをチェックし、関連部門から情報を取り寄せ、確認します。分量が多いレポートは、200ページほどにもなります。しかも、調査会社や格付け機関は欧米の会社がほとんどで、読解もコミュニケーションも全て英語です。

 アンケート内容は「結社の自由をどのように保証しているか」「ESG実績と役員報酬はどのようにリンクしているのか」など、答えられないもの、答えたくないものもあります。それらをまとめて請け負い、評価を上げてもらわなくてはならないのが、CSR担当者の宿命なのです。

 調査会社は企業から戻されたレポートをレーティング(格付け)して投資家に販売したり、優れた企業を選出、指標化しランキングとして開示します。著名な指標には「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス(DJSI)」やFTSE(フィッツィ)の「FTSE4Good」があります。調査機関として影響力のある「MSCI」も有名です。これらはSRI(Socially Responsible Investment、社会的信用投資)の銘柄選定や、機関投資家によるESG投資判断の重要な材料となります。

 レポートは企業価値評価そのものとなるため、担当者はランキング上位に採用されるか、格付けが下がらないかを考え、戦々恐々するというわけです。

 

アンケート項目から見えてくる投資家の関心事

 投資家の関心事は、企業レポートのアンケート調査の項目を読み解けばわかります。特に2014年頃から重視されているのが、… 続きを読む

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湘南 キミドリ

湘南 キミドリ

25年以上に渡る大手グローバル企業での広報・CSRのキャリアを経て、2017年春からフリーへ転身。現在は保育園児・小学生2児の子育てに奮闘するかたわら、執筆活動や在宅でのビジネスサポートを行う「一人働き方改革」の推進中。

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