タテ社会の日本企業を蘇らせる方法(後編)

タテ社会の弊害は、組織内の「ヨコ関係」で補える

2017.05.22 Mon連載バックナンバー

 社会には、普遍的な構造が存在する。たとえば日本の場合は、どれだけ社会が変わろうとも、「先輩⇔後輩」のような「場」の関係が優先される「タテ社会」であり続ける。そのため、「ヨコ社会」である欧米とは社会構造が大きく異なり、それゆえ日本企業のグローバル対応が阻害されがちである。

 日本社会の構造について詳細に分析したロングセラーのビジネス書「タテ社会の人間関係」(中根千枝著)を元に、前編では上記のような理由で、日本のグローバル化が進まないことを指摘した。しかし、海外とのビジネスが盛んになっている今、グローバル化に遅れを取ることは致命的な問題である。

 「タテ社会」が染み付いている日本企業は、「ヨコ社会」で成功している海外の企業に、どのように対抗すべきなのだろうか?

 

タテ社会がダメなのか?ヨコ社会がよいのか?

 日本がタテ社会であるとはいえ、欧米の文化がまったく採り入れられていないというわけではない。たとえば「成果主義」もそのひとつである。

 バブル崩壊後、日本の各企業の年功序列中心だった人事制度に、成果主義が採用されるようになった。中には上手く機能している企業もあるかもしれないが、運用するうえで問題が発生しているケースも多く見られる。

 たとえば、年下の上司が「年上の部下にはどのように対応すればいいのか」という悩みを抱えていたり、成果主義と言いながら「成果」ではなく「人物」で評価しているという話もよく耳にする。中根氏が分析するように、日本のタテ社会は、時代が変わっても存在し続けている。

 とはいえ、タテ社会がすべて悪いというわけではない。タテ社会に見られる悪い面は、言ってみればひとつの特徴である。それぞれの社会には、優れた面、悪い面が存在する。

 

タテ社会の成功事例、高度経済成長時代の考察

 そもそも、日本が発展してきた歴史において、タテ社会の存在は無視できない。

 日本は明治維新後、驚異的なスピードで近代化し、先進国の仲間入りを果たした。第二次世界大戦の敗戦を乗り越え、現在は世界第3位の経済大国に成長した(GDP基準)。その間、多くの企業が成長し、発展した。

 圧倒的劣勢の状況から急成長を実現できたのは、明治維新後は「富国強兵」や「文明開化」、戦後は「戦後復興」など、国全体が大きなビジョンを共有し、タテ社会の人間関係がうまく機能したことによるところが大きい。目的が共有できれば、トップダウンの指令をしっかり末端まで行き届かせて組織的に対応できる。これは、タテ社会日本の最も得意とするところである。

 しかし、1960年代の半ばを過ぎると… 続きを読む

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峯 英一郎/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

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ライター・キャリア&ITコンサルタント

IT企業から独立後、キャリア開発のセミナーやコンサルティング、さまざまな分野・ポジションで活躍するビジネス・パーソンや企業を取材・執筆するなどメディア制作を行なう。IT分野のコンサルティングや執筆にも注力している。
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