イノベーションのジレンマを乗り越えるためには(第4回)

投資家に「お金を出したい」と思わせる新規事業とは

2017.07.13 Thu連載バックナンバー

 大企業が新規事業に挑戦する際、「組織」や「人事」と同様に重要なのが「資本」です。一般的に、大企業の投資家は安定的な見通しに対して投資を行っています。そのため、安定事業と一線を画する成長事業ほど、投資家の期待とのミスマッチが起きやすく、新規事業への投資に理解が得られない場合があります。

 こうした大企業の「資本のジレンマ」はどうすれば克服することができるのでしょうか? 今回は、投資家を新規事業の味方にするための2つの方法を紹介します。

 

既存の投資家と新規事業への投資方針を共有する

 まず正攻法として、既存の投資家と新規事業への投資方針を共有することが重要です。共有すべき投資方針を「投資対象」(どのような新規事業に投資するか)と「投資方法」(その新規事業にどこまで投資するか)に分けて考えます。

 投資対象について、投資家の理解を得る最も単純な方法は、投資家が求める投資指標(投資額・投資対効果・回収期間等)をクリアする新規事業を投資対象とすることです。

 たとえば、ある大手マーケティング企業では投資対効果を測る内部収益率(IRR)を投資の条件に設定しています。その他にも、新規事業に投資する金額(比率)や投資回収の期限(3~5年)を定めたりするケースもあります。

 「投資指標をクリアする新規事業」という外形的な共通認識が決定したら、次にどのような事業形態であればOKかを具体的に線引きすることが重要です。NGになるラインが分かっていると、手戻りなく新規事業を検討することが可能です。

 たとえば、先の大手マーケティング企業は、新規事業としてEコマースを始めることを検討していました。Eコマースと言っても様々な事業形態がありますが、同社の場合は… 続きを読む

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吉江 宣慶

吉江 宣慶

経営コンサルタント

外資系コンサルティングファームのプロジェクトマネージャーとして、大企業を中心としたビジネスモデルを変革する新規事業立ち上げのハンズオン支援、大企業×ベンチャーのコラボレーションを促進するM&A戦略の立案、デジタル業界などのニューエコノミーのビジネスデューディリジェンスを得意としている。

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