組織を「つくり直す」リーダーシップとは(第2回)

ミスターミニットを蘇らせた「大雑把な人事評価」

2017.03.21 Tue連載バックナンバー

 青い看板の靴修理の老舗「ミスターミニット」は、数年前までは業績が右肩下がりの状態で、社員の士気も低かったといいます。

 そのような状態のミスターミニットを立て直したのが、弱冠29歳で社長に就任した迫俊亮氏です。彼はどのような方法で、同社をV字回復へ導いたのか。迫氏の著作「やる気を引き出し、人を動かす リーダーの現場力」から、そのリーダーシップの在り方を紐解いていきます。

 第1回は、部下を徹底的に尊重することで、現場との信頼関係を築いていった方法を紹介しました。第2回では、迫氏が会社の全ての仕組みを現場中心に作り変え、部下が自ら動くようになる土壌をつくり上げた方法を紹介します。

 

部下の失敗は、リーダーの失敗である

 迫氏の改革の根底にある考え方は、失敗の原因を個人に求めるのではなく、組織の仕組みに求める、というものです。

 たとえば、自分の部下が仕事で失敗した場合、リーダーはその原因を「あいつのやる気が無いからだ」「能力が足りないからだ」と、ついつい部下個人に求めてしまいがちです。

 しかし、「ある部下のやる気が出ない」という問題は、部下の働きが評価されない人事制度、部下の意見が吸い上げられない会議が原因かもしれませんし、「部下の能力が足りない」という問題は、能力を身につけさせる教育・指導の仕組みが組織に整っていないことが原因かもしれません。

 このように、部下の失敗は、リーダーが組織の仕組みづくりに失敗していることを示唆しているのです。

 

部下は強みを伸ばし、弱みはリーダーや組織がサポートする

 それでは、理想的な仕組みづくりとはどのようなものなのでしょうか。ミスターミニットの場合は、現場(により近い場所にいる部下)が力を発揮できることが最も重要になります。そのため、組織の仕組みも、現場が力を発揮できる形に最適化する必要があります。

 部下が最も力を発揮するのは、自分の強みを生かすことができた時です。ならば、強みを伸ばすことに注力できる環境を整え、弱みを補うのがリーダーの役割です。

 ミスターミニットの場合、現場で修理職人として働く社員は、圧倒的な現場感覚やサービスへの情熱といった強みを持っています。その一方で、往々にしてエクセルやパワーポイントを使った資料作成や、ロジカルシンキングなどが苦手です。以前の人事評価では、これらのビジネススキルは昇進の要件とされることが多く、それが現場社員の出世の壁にもなっていました。

 しかし、部下の時間や労力を「苦手分野を人並みにする」ことに費やしたとしても、平均点の人間が増えるだけで、会社へのインパクトは大きくありません。ならば部下の弱みは、別の社員や外部のリソースを活用して補い、部下の強みを伸ばすことに注力した方が、会社はほかにはない個性や強み持った人材を増やせる、と迫氏は考えました。

 迫氏はある一点に秀でた部下がいたら、そのほかで弱点が多くても、思い切って重要なポジションを与えました。その代わり、… 続きを読む

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前野 智子

前野 智子

フリーライター。大企業・ベンチャー双方での就業経験や海外でのビジネス経験を活かし、ビジネス関連記事やインタビュー記事等の執筆を手掛ける。

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