組織を「つくり直す」リーダーシップとは(第1回)

ミスターミニット社長が見せた部下への100%の敬意

2017.03.06 Mon連載バックナンバー

 駅構内などにある青い看板の靴修理の老舗企業といえば、ミスターミニットです。同社は現在、日本とアジア・オセアニア6か国で約600店舗を有し、最近では靴磨きや時計修理、スマートフォンの修理などの新サービスも軌道に乗っています。

 実はこのミスターミニット、数年前までは業績が10年連続右肩下がりの状態で、社員の士気も低かったといいます。

 そのような状態のミスターミニットにファンドから送り込まれ、2014年4月に弱冠29歳で社長に就任したのが迫俊亮氏です。彼がこの3年弱でどのように組織をつくり直し、会社を再び成長軌道に乗せたのか、迫氏の著作「やる気を引き出し、人を動かすリーダーの現場力」から、そのリーダーシップの在り方を紐解いていきます。

 第1回は、部下を徹底的に尊重することで、現場との信頼関係を築いていった方法を紹介します。

 

縦ラインの信頼関係が崩れると組織はうまくいかない

 うまくいっていない組織は、経営と現場、上司と部下など縦のラインを繋ぐ「信頼関係」という名の配管が腐っているというのが迫氏の見立てです。迫氏が入社した当時のミスターミニットもこの典型的なパターンで、経営は「下は戦略理解が足りない」、現場は「上は現場の状況がわかっていない」とお互いを理解しようとせず、経営側から飛ぶ一方通行の指示が、現場で受け流されているという状況でした。

 「弱冠29歳」「ファンドからの落下傘社長」という反感しか買わないであろうシチュエーションでリーダーとなった迫氏は、部下や現場の信頼を得るために試行錯誤を繰り返します。

 ミスターミニット入社直後の迫氏は、マーケティング結果に基づいて「店舗に新しいのぼりを置く」「チラシを配る」などの施策を行いましたが、現場からは「また経営側の人間が机上の空論で無駄なことをやっている」と全て受け流されて失敗に終わりました。さらに、社内には「現場の意見を上に伝えても聞き入れられず、目を付けられるだけ」という暗黙の了解があったため、現場からの改善案も出てこないという状況でした。

 そこで迫氏はまず「上は現場を尊重していない」という前提を壊すべく、… 続きを読む

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前野 智子

前野 智子

フリーライター。大企業・ベンチャー双方での就業経験や海外でのビジネス経験を活かし、ビジネス関連記事やインタビュー記事等の執筆を手掛ける。

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