組織を豊かにする「アンガーマネジメント」の威力(第1回)

パワハラ上司にならない「アンガーマネジメント」術

2017.01.06 Fri連載バックナンバー

 厚生労働省によると、2015年度に全国各地の労働局に寄せられた相談のうち、最も多かったのが「いじめ」「嫌がらせ」など、いわゆるパワハラ(パワーハラスメント)に関するものだったという。

 同省の調査によると、パワハラについて「受けたことがある」と解答した人は調査全体の25.3%。さらに、「勤務先でパワハラを見たり、相談を受けたことがある」という解答は28.2%と、より高い数値となる。

 その一方で、「パワハラをしたと感じたり、したと指摘されたことがある」という割合は、全体のわずか7.3%。パワハラを感じる人が多い一方で、パワハラをする側はそれに気付けないという、矛盾した構造が浮かび上がる(厚生労働省、2012年度調査より)。

 加害者側がなかなか気付けないパワハラは、どうやって防げば良いのか。この防止策として注目を集めているのが、「怒り」の性質をとらえ、その感情をコントロールする「アンガーマネジメント」である。

 

「パワハラ上司」にならないために

 前出の調査によれば、パワハラ被害の内訳としては、「精神的な攻撃」が圧倒的に多くなっている(全体の55.6%)。その一例としては、上司が部下に対し「大声で叱責する」「物を投げつける」「ミスを大声で言われる」といったものが指摘されている。要は、上司側が抱いた「怒り」の感情が、部下をはじめとする弱い立場の人間にぶつけられているというわけだ。

 逆に言えば、上司が感情をコントロールし、部下とのコミュニケーションを上手に取れば、パワハラの多くを防ぐことができるともいえる。そうなれば、結果的に職場環境は向上し、企業の生産性のアップも期待できる。

 しかし、「怒り」の感情を上手にコントロールするとはどういうことなのか。そして、「部下とコミュニケーションを上手に取る」とはいっても、具体的にどのようにすれば良いのか?次の段落から順を追って説明しよう。

 

理性という名のコップに溜まった「怒り」を汲み出すべし

 まずは「怒り」の感情をコントロールする方法だが、これはそもそもなぜ人は「怒り」の感情を覚えるのか、という根本的な問題を理解する必要がある。

 私たち人間は、「怒り」の感情が発生すると、理性という名のコップに、一時期的に「怒り」という水が溜まる。それだけでは、コップから水があふれることはない。しかし、たとえば道を歩いていて、向こうから歩いていた人と肩がぶつかり、相手が謝罪もせず「どこ見て歩いているんだ!」と文句をつけられるとする。こうなると、まったく心外なクレームを言われたことで、その人のコップには、さらに「怒り」が溜まってしまう。

 このコップの中に水が溜まっている状態で、会社に戻ったとしよう。そして、会社に戻るや否や、今度は部下のミスで、上司から問答無用で怒られてしまうとする。… 続きを読む

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連載記事

パワハラ上司にならない「アンガーマネジメント」術
峯 英一郎/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

峯 英一郎/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

ライター・キャリア&ITコンサルタント

IT企業から独立後、キャリア開発のセミナーやコンサルティング、さまざまな分野・ポジションで活躍するビジネス・パーソンや企業を取材・執筆するなどメディア制作を行なう。IT分野のコンサルティングや執筆にも注力している。
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