世界を相手に勝つ日本人アスリート(第1回)

なぜラグビー日本代表はW杯で活躍できたのか?

2015.11.11 Wed連載バックナンバー

 2015年9月19日、日本中が歓喜した。ラグビーのワールドカップ(W杯)イングランド大会の初戦で、日本代表が、W杯2度優勝の南アフリカに34-32で歴史的勝利を収めたのだ。惜しくも8強入りは逃したものの、1次リーグを3勝1敗と堂々たる成績を残した。

 ラグビー日本代表は、これまでW杯でほとんど活躍することができなかった。しかし今回は、なぜ大舞台で飛躍することができたのか? 一体、彼らに何が起こったのだろうか?

 

これまでのラグビー日本代表が世界で勝てなかった理由

 そもそも日本は、あるタイプのスポーツにおいて、世界でこれといった結果が残せていない傾向にある。ラグビーもまさにその1つだった。

 元ラグビー日本代表のスター選手、監督であり、現在は神戸製鋼コベルコスティーラーズ総監督兼任ゼネラルマネージャーを務める平尾誠二氏によると、スポーツには、「ベースボール型」「ゴール型」「ネット型」の3つのタイプがあるという。ここでは、それぞれ両極端の性質を持つ「ベースボール型」「ゴール型」の2タイプを見てみよう。

 「ベースボール型」とは、まさに野球がその代表例で、攻守がはっきりと分かれているのが特徴である。一方が攻撃をしている間は、他方は守るのみで攻撃はしない。その攻撃も1球、1球、しっかり間を取ることができ、比較的ゆっくりとしたテンポでゲームが進められる。ゲーム中もサインを送ったり指示することができるため、采配が結果を左右するケースが多く、監督の重要性が高い。もし結果がでなければ、それは監督の責任である。根底に、監督の思い描く型にはめるという考えがあり、日本は野球の世界大会「WBC」を2連覇したように、世界最高峰の舞台で戦える競技の一つとなっている。

 対して「ゴール型」とは、攻守がはっきりとわかれていないスポーツを指す。一方が攻撃中でも、瞬時に攻守が入れ替わる。ボールがゴール外に出るか、ファールなどで審判がプレーの中断を指示する以外は、基本的にプレーは続く。そのため、ゲーム中にベンチからサインを受け取ることはできない。必然的に、グランドの中にいる選手一人ひとりの自主的なプレーの重要度が高まる。ラグビーやサッカー、バスケットが当てはまるが、日本はこうした「ゴール型」のスポーツにおいて、世界大会で思うような結果が残せていない。

 なお最後の「ネット型」とは、バレーボールや卓球、テニスのように、中央がネットなどで仕切られていて、それぞれの陣地に来たボールを跳ね返すというものである。ベースボール型、ゴール型とは比較がしづらいため今回は触れないが、次回改めて紹介する。

 日本人は、過去に行われた世界大会の結果から見ると、野球のように監督の指揮命令のもと、型にはめるスポーツには強いが、ラグビーやサッカーのように、フレキシブルで自由奔放な個人の自主性を必要とするスポーツには、世界でトップに立つにはまだまだ力不足といえる。

 ラグビー日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズ氏も、素質ある選手を開花させるためには、「人の育て方を含めて、スポーツを取り巻く環境や発想の根本的な革命が必要なのかもしれない」と語っている。指揮官は日本ラグビーが世界で勝てない最大の原因を、日本人の国民性による環境や考え方だと見ているのだ。

 だとすれば、それは何もスポーツやラグビーに限ったことではない。日本市場で成功している企業も、世界では通用しない現実がある。ビジネス界も同じ壁にぶち当たり、同じ悩みを抱えている日本企業は枚挙にいとまがない。世界で勝負する全ての日本人にとって、乗り越えなければならない壁なのだ。

 しかし、ラグビー日本代表は乗り越えた。正に歴史的勝利なのだ。では、彼らは一体、何を、どうやって乗り越えたのだろうか。

 その答えは、エディー氏がラグビー日本代表に実践したコーチングにある。「ラグビー日本代表ヘッドコーチ エディー・ジョーンズとの対話 コーチングとは『信じること』」(文藝春秋刊、生島 淳著)に記された、エディー氏の手法を紹介しよう。

 

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峯 英一郎/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

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ライター・キャリア&ITコンサルタント

IT企業から独立後、キャリア開発のセミナーやコンサルティング、さまざまな分野・ポジションで活躍するビジネス・パーソンや企業を取材・執筆するなどメディア制作を行なう。IT分野のコンサルティングや執筆にも注力している。
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