現地でリーダーとなる海外駐在員はどう育てる?(第1回)

駐在員の叫び「OKY」から考えるグローバル人材育成

2015.07.16 Thu連載バックナンバー

 みなさんは「OKY」という言葉を聞いたことがありますか?

 これは、「お前が(O)、ここに来て(K)、やってみろ(Y)」の略のことで、アジアの新興国に赴任している、日本人駐在員の間で使われている合い言葉となっています。筆者が初めてこの言葉を耳にしたのは、数年前に海外研修の運営でよく訪れていたインドやベトナムでのことでした。

 

駐在員の心の叫びから生まれた「OKY」

 「お前がここに来てやってみろ!」とは、なんだか物騒な物言いですが、この言葉が生まれた背景には、まず、日本とは常識や商習慣、仕事の進め方も異なる新興国において、なかなか思い通りにビジネスが進まない現地スタッフの苦労があります。

 しかし、そんなことは露知らずに、日本の本社の人間は、「なんで計画通りに進んでいないんだ? お前、マネージャーだろう! しっかりマネジメントしろ!」と無理難題を言ってくることもあるでしょう。OKYは、そんな2つの状況に挟まれた海外駐在員が、「こっち(現地)の状況も知らずに、日本の感覚でそんなことを言われても……」という思いをぶつける言葉として使われています。

 ただ、思いをぶつけると言っても、日本の本社には面と向かって言うのは難しいものです。現地駐在員同士の愚痴のひとつとして出てきたこの隠語は、言ってみれば、現地(新興国)と日本本社との板挟みになって仕事をしている駐在員の心の叫びと言えるでしょう。

 

日本と新興国の状況が違うのは当たり前

 当たり前の話ですが、日本と新興国では、さまざまな状況が異なります。新興国のなかには、インフラがまだまだ未整備だったり、交通渋滞が激しい都市もあります。また、現地の人たちの仕事に対する姿勢や進め方も違いますし、さらに人によっては仕事がかなりスローペースになることもあるので、当然、日本と同じように仕事が進むわけではありません。

 もちろん、これは新興国と日本との比較に限らず、日本でだって地域による差や、業界や企業ごとに仕事のやり方は異なるでしょう。以前、筆者が東京から鹿児島に出張した際、「東京のようなスピード感で仕事をしていないので、こちらのペースに合わせて下さいね」と言われたことを思い出します。

 日本国内ですらこのような差があるのですから、国が異なることによってさらに大きな差が出ることは当然だと言えます。ましてや、経済発展のステージが異なる新興国と日本とでは、その差が大きな違いになってくることが想像できます。よって、新興国でビジネスを興す場合は、そのような状況の差は織り込み済みだと思って事業を展開していかなければなりません。

 しかし、現実にはOKYという言葉が産まれるような状況があります。とすれば、海外駐在員には、仕事に必要な「ビジネススキル」や「専門的な知識」はもちろんのこと、それ以外にも、日本と異なる環境の中で適応しながら仕事をしていくマインドや、現地と日本本社との板挟みになっても仕事をやりぬくメンタルタフネス(心の強さ、精神力)が必要だと言えます。… 続きを読む

全文(続き)を読む

続きを読むにはログインが必要です。

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

豊田 圭一

豊田 圭一

株式会社スパイスアップ・ジャパン代表取締役

埼玉県出身。幼少時の5年間をアルゼンチンで過ごす。上智大学卒業。清水建設で約3年間の勤務後、海外教育コンサルティング事業を起業。15年以上に渡り、留学コンサルティングや海外インターンシップ手配などに関わる。現在グローバル人材育成のためのアジア新興国での海外研修事業に従事する他、インドで英語学校も運営。主な著書に『引きずらない人は知っている、打たれ強くなる思考術』がある。

このページの先頭へ
Bizコンパス公式Facebook Bizコンパス公式Twitter