ビジネスから見る鉄道の世界(第4回)

全国の駅弁が一同に集う、東京駅の夢の「祭」とは

2015.08.28 Fri連載バックナンバー

 日本全国の有名駅弁をこの一店で買うことができる。そんな夢のような駅弁専門店が東京駅にオープンしたのは2012年(平成24年)8月のことであった。

 店はオープン当初から連日満員の盛況となり、その人気は開店から3年が経過した今もまったく衰えていない。その人気はどこにあるのか。現地を訪ねた。

 

常時170種類以上の駅弁がこの一店に集結

 東京駅改札内コンコースにある、駅弁専門店「祭(まつり)」。店の名前は「毎日が駅弁祭り」というコンセプトにちなんだもので、店内には北海道から九州までの全国の有名駅弁が、常時170種類以上も並べられている。

 鉄道旅行が好きな人であればきっと誰もが、全国各地の駅弁を食べることを旅の楽しみのひとつにしているに違いない。昔ながらの定番ばかりでなく、近年になって登場した数々の新作駅弁は、ファミレスやコンビニ弁当に対抗して、食材にも調理法にも工夫が凝らされ、極上の美味を楽しむことができるようになった。あるいはこれも、時代の進歩といえるのかもしれない。

 それでも、駅弁のちょっと困ったところは、旅に出かけなければ、それを手に入れることができないこと。「あの駅の駅弁を食べたい」と思うことがあっても、思いを果たすことは難しいものだ。

 そんな旅好き、駅弁好きの人にとって、夢のような出来事となったのが、東京駅の「祭」のオープンだった。この店に行けば、北海道の駅弁でも、九州の駅弁でも、好きなものを入手することができる。しかも毎日170種類以上の品物が揃えられ、店のなかには2カ所の実演コーナーがあり、今まさにつくり立ての駅弁を食することもできる。輸送の都合上どうしても持って来られない駅弁や、同じ弁当でも、調製元から送られてくるものとは食味が違うのも実演を行うメリットだ。

 この店で扱う品目は、定番として新聞、雑誌などにも採り上げられることの多い人気の一品から、電車の形をした容器に入った子ども向けのもの、あるいは牛肉や海産物を贅沢に盛り込んだものまで実にさまざま。さらに、季節に合わせた商品の入れ替えがあり、新作駅弁も随時登場している。この店に来ることで、「何か新しい駅弁に出会うことができる」という期待感を利用者に醸成させることは重要なことだ。圧倒的なボリュームと、タイムラグを感じさせない品揃えが、「祭」ならではの大きな魅力となっている。

 

駅弁は日本だけの文化、それを広めてお客さまに喜ばれたい… 続きを読む

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池口 英司

池口 英司

鉄道ジャーナリスト兼カメラマン

1956年東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。出版社勤務を経て、フリーランスの鉄道ジャーナリスト兼カメラマン。鉄道模型や旅行についても執筆。著作に『鉄道時計ものがたり―いつの時代も鉄道員の“相棒” (交通新聞社新書) 』、『国鉄形車両 事故の謎とゆくえ』、『国鉄のスピード史―スピードアップがもたらした未来への足跡 (のりもの選書) 』など。

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