家族経営で起こりやすい経営方針の対立の解決法とは(第1回)

大塚家具を機に考える、対立する経営方針の解決法

2015.05.20 Wed連載バックナンバー

 大株主と経営者であり、代表取締役の会長・社長であり、親子でもある、大塚家具の二人の経営権争奪劇が注目を集めた。株主と経営者、経営者間、親子間の仕事上の意見の対立については、「うちにもあるある」と思った方も少なくないのではないか。

 本稿では、大塚家具の例で見られたような、対立する経営方針はどのように解決すればいいのか、その対応策について考察する。

 

日本はファミリービジネス大国

 コンサル会社のプライスウォーターハウスクーパースの調べによると、日本における創業者一族が経営に関わるファミリービジネス企業数の割合は、国内企業総数の9割以上を占めているという。また、業暦100年以上のファミリービジネス企業数は、欧州(6,000社)、米国(800社)に対して、日本は数万社を数えるという。

 中でも大半を占めるのは中小企業だが、トヨタ自動車、竹中工務店、サントリーなどの名だたる大企業にもファミリービジネス企業は数多く存在している。グローバルに見ても日本は文字通りの「ファミリービジネス大国」なのである。

 ファミリービジネスは家族という強い絆をバックボーンとして、従業員や他の関係者とも親密な関係を構築し、長期的な視野でビジョンを追求できるという長所がある。ただその反面、家族故に内輪の衝突が経営問題に発展してしまうという短所を持つ。同様の傾向は、知人や友人、先輩後輩らによる同族経営にも内在する。

 こうした課題は必然的に、ビジネスの規模が大きくなるにつれ、また事業継承による体制変更後にリスクが高まる。そのため、大株主と経営者、経営者間、親子間はもちろんのこと、その他の株主、取締役、顧客、従業員、取引先等の外部を含めて、いかにコミュニケーションを取るかが、企業として成長できるかの試金石となる。

 しかし、これらのリスクや成長の鍵は、何もファミリービジネスや同族経営企業に限ったことではない。「経営方針の意思決定をどうするか?」、また、そのプロセスである「コミュニケーションをいかに取るか?」は、経営者全員に共通する経営課題なのだ。ファミリービジネスや同族経営においては、より発生しやすいということなのである。

 今回は「大塚家具を契機に考える」というテーマに倣い、株主と経営者、創業者と二代目、親子間の事業継承をその背景設定として話を進めるが、決して大塚家具の騒動の是非を問うものではない。経営方針の対立は、二代目から三代目、親子ではない事業継承、ファミリービジネスではない企業間の経営権争いなど、広く経営者にとっての共通課題であり、対応策についての考察でもあるのだ。

 

全てを思い通りにしたい実力者たち

 さて、ファミリービジネスでは、創業者が一代で会社を興し、二代目三代目と継承されていく。そもそも創業者とは、どのような人物であろうか?もちろん、創業者にも色々なタイプはいるが、その共通点としては、一代で会社を立ち上げた実力者であることがあげられよう。

 成果を上げることのできる人間は、自らの考えやプラン、目標や夢を実現したいという“欲求”が非常に強い。それが強みであり、実現の源でもある。創業者や経営者の多くは、成果を上げることのできる人間であるが故に、自らの考え通りに実行したいという欲求も人一倍強い。

 そのためファミリービジネスにおける経営手法は、社員の合意を形成するボトムアップではなく、トップダウンによる支配的手腕が振るわれることが多い。こうしたトップダウンによる指示命令で動く組織は、意思決定から実行までのスピードが速く、社員に行き届いているため、創業から一定規模の間においては、効率的な経営スタイルとなる。

 しかし、一定の成長や規模を超えると、… 続きを読む

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峯 英一郎/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

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ライター・キャリア&ITコンサルタント

IT企業から独立後、キャリア開発のセミナーやコンサルティング、さまざまな分野・ポジションで活躍するビジネス・パーソンや企業を取材・執筆するなどメディア制作を行なう。IT分野のコンサルティングや執筆にも注力している。
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