仕事が楽しくできる会社に変えるために(第4回)

富士通の例に見る、型破りな従業員のマネジメント法

2015.04.21 Tue連載バックナンバー

 仕事を楽しめば成果も上がる「フロー理論」と、会社を変えるために必要な「共同体感覚」。この両者が高次元で両立すれば、従業員が仕事を楽しめるうえ、会社の業績も上がり、より良い企業に変えることができる。

 フロー状態にある社員(以下、フロー社員)を多く生み出すためには、そのための環境を作り出すマネージャも必要である。今回はその実現事例として、日本のコンピュータの祖・富士通池田敏雄と、そのマネージャであった小林大祐の仕事ぶりから、フローを生み出すマネジメントが何であるかを考えていく。

 

月給ゼロ、賞与もゼロ。型破りな社員をどうマネジメントするか

 若き池田敏雄は型破りな人間だった。新しいアイデアが浮かぶと思考が集中してしまい、何日も自宅にこもって出社するのを忘れることがあった。かと思えば、何日も会社に泊まり込んで研究に没頭することもあった。

 現在の会社ではフレックス制や裁量労働制などの新しい制度が導入され、比較的多様な働き方が可能になっているが、制度の枠を超えた働き方が許されるわけではない。池田のような働き方をする社員は、指導されることはあっても、指導する立場、つまり管理職に昇進することは難しいだろう。

 しかし池田は、取締役になりコンピュータ事業の舵を取るまでに至った。その池田の軌跡を辿ることにしよう。

 池田が富士通に入社して間もなく、日本電信電話公社(現NTT)に初めて導入された電話機がダイヤルの作動障害を起こしたが、池田はダイヤルの作動を理論的に解析、問題の本質を明らかにした上で、このトラブルを解決させてしまった。

 池田の上司であった小林大祐は、彼の才能を存分に発揮させる場を整えるべく、社内の根回し役となった。池田の研究への情熱に応えるように、会社は昭和23年、機構研究室を設置。池田は研究に没頭することができ、富士通は通信機メーカーからコンピュータメーカーヘと進化を遂げた。

 当時の富士通は、一日出勤しなければ一日分給料が減るという日給月給制をとっていた。そのため池田の勤怠では、月給ゼロ、賞与もゼロという時が続き、さすがの池田も悲鳴をあげたそうだ。そのとき、小林が動いた。会社のルールを変え、池田一人のために固定月給という特例で遇することを認めさせたのである。

 池田は、寝食を忘れて研究に没頭し、フロー状態にあったと考えられる。しかし、池田がフロー状態で仕事を継続できたのは、会社や上司が彼の才能を引き出すマネジメントを執ったからでもある。もし一般的な就業規則や給与体系の枠にはめていたら、富士通はコンピュータメーカーになれなかったかもしれない。この点を見過ごすことはできない。これがフロー・マネジメントの真髄である。

 イノベーティブな成果を生み出す源泉は、優秀な社員のフロー状態にある。そうであれば、イノベーションを起こしたければフロー状態で働くことができる社員を増やせばいい筈である。では、フロー状態で働くことができる社員を増やすためには、一体どうすればいいのだろうか?

 それは、その素養のある社員を採用することであり、その素養のある社員を育成することに他ならない。

 

それぞれの仕事における“基本”がフローの基

 採用と育成について、別のスペシャリストの選考からそのヒントを得ることにしよう。

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峯 英一郎/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

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ライター・キャリア&ITコンサルタント

IT企業から独立後、キャリア開発のセミナーやコンサルティング、さまざまな分野・ポジションで活躍するビジネス・パーソンや企業を取材・執筆するなどメディア制作を行なう。IT分野のコンサルティングや執筆にも注力している。
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