組織開発とコミュニケーション変革

「考えない職場」を変えるコミュニケーション変革

2015.01.29 Thu連載バックナンバー

 仕事環境が変化していくに伴って、次第に組織の一体化は表面的なものへと変貌してしまいました。経営課題の解決のために、さまざまな戦略や施策、制度などを導入するもののなかなか成果とならないのはなぜなのでしょうか。

 今回は、組織コミュニケーションのあり方が、本質的な組織の機能化にどうつながっていくのかを探っていきます。

 

よくある職場の風景~考えない職場~

 これは、あるIT関連メーカーの営業部門での風景です。最近、営業生産性の向上を目的にSFA(営業支援システム)を導入しました。営業推進部門がさまざまな定着策を講じたのですが、現場ではなかなかねらい通りにはいきませんでした。

 マネジャー:「上津良君、今週のSFAの入力、まだのようだけど?」

 上津良:「あっ、案件の追い込みが重なったもので……」

 マネジャー:「そうか……大変だと思うけど、決まったことだからちゃんとやってくれないと困るよ」

 上津良:「すみませんーすぐ入力します(面倒なんだよ、余計な仕事増やしやがって……いちいちチェックされるのも嫌だしな)」

 マネジャー:「頼むぞ!(まったくー、こっちだって上からチェックされるんだ。コメントの入力も面倒だし)」

 なんともチグハグなやり取りですが、なぜこのようになってしまったのでしょうか。

 日本の企業は、今や成果主義や目標管理は当たり前の世界になっています。マネジャーは、自らに課せられた業績目標の確保に奔走しながらさまざまな施策(仕組み)の運用を強いられる。メンバーは、その正しい目的を理解しないまま、上っ面だけの対応に終始する。こうした相互の部分最適対応によって、本来の趣旨とかけ離れた展開となり、疲弊感だけが募っていく。誰もが自分の思いを脇に置いて、ひたすら受け身で仕事をこなすことにあくせくするだけの“考えない職場”が出来上がってしまったのです。

 結果として残ったのは、「現場の事情をわかっているのか」「どうしたいのか方向性が見えない」「この職場では達成感がもてない」といった数々の不満とモチベーションの低下でした。

 

単なる不満が『前向きな不満』に変わるとき

 こうした問題を解決する際、まずはSFAのどこに問題があるのかといった観点から現状把握を行います(下の【組織開発の15ステップ】の図における【10】【11】のステップ)。そして、要因を探り解決策を実行する(図の【12】~【15】)というステップを踏んでいくのが通例です。

 これはマネジメントや仕組み、制度など、いわば『見える組織』の変革を進めるアプローチです。ただ、これだけではなかなかうまくいきません。組織には『見えない組織』も存在しており、そこにもメスを入れる必要があるのです。

 それは職場の慣習や暗黙のルール、相互の関係性や価値観のようなものです。見える問題を解決してもそれを実行する一人ひとりの意識が変わらなければ、せっかくの施策も定着しないということです。

 ただ、これらは“見えない”わけですから簡単にはアプローチできません。ではどうしたらいいのでしょうか?… 続きを読む

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杉本 良一

杉本 良一

株式会社富士ゼロックス総合教育研究所 コンサルティング営業3部

1987年前身の富士ゼロックス教育事業部に入社。組織開発プログラムの営業、組織力強化分野のコンサルタント、リサーチコンサルタントを経て、商品開発を担当。営業マネジメント、共創型マネジメントのプログラムなどを開発。現在、コミュニケーション変革を通した組織開発のコンサルティングを中心に活動中。

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