幕末藩主に学ぶリーダーの資質(第1回)

長州藩/志士に全てを任せた「そうせい侯」毛利敬親

2014.11.14 Fri連載バックナンバー

 年々、各企業の人材確保のための競争は厳しさをましているようで、「第二新卒」を歓迎したり、即戦力となる中途採用に力を注いだりする例も見かけます。

 とはいえ、人材募集だけで長期わたって活躍してくれる社員を確保するのは難しく、会社の上司は「半人前の新人社員をいかに育てるか」に頭を悩ませているのではないでしょうか。

 こうした部下の教育について、10年以上にわたって業績を伸ばし続けているある企業の創業者は、「一人の上司が細かく指導できるのはせいぜい2、3人。そのため、人材育成で重要なのは部下の指導よりも、部下を信じて仕事の一切を任せることである」と述べています。

 この「仕事を任せることで部下の成長を促す」方法は同時に、部下のやる気と自主性を高めることにもつながります。上司に指示を仰ぐ前に、まずは自分たちで相談し合うようになり、活発な議論によって多様な意見が生まれるきっかけにもなるのです。

 実は、この「部下に任せる」組織運営を150年以上も前に実践し、250年続いた徳川幕府を倒すことに成功した人物がいます。それが長州藩最後の藩主となった毛利敬親(たかちか)です。

 

長州藩がたどった苦難の250年

 幕末維新で倒幕の原動力となった長州藩。しかし、そこに至るまでの苦難は並大抵なものではありませんでした。代々長州藩主を担ってきた毛利家は、関ヶ原の戦いで徳川家康に敵対した西軍の総大将となった毛利輝元の末裔であり、輝元の従兄弟にあたる吉川広家が独自に家康とも連絡を取り合っていた関係でかろうじて取りつぶしを免れたという過去があります。

 そのため、輝元の祖父・毛利元就が一代で築き上げた120万石の領地は、わずか30万石に。当然、全ての藩士たちを以前通りに養うことができず、家臣の半数近くが刀を捨て、農民となって新田開発に取り組んだといわれています。さらに幕府が定めた参勤交代などの制度によって藩の財政は圧迫され、存亡の危機に立たされることになります。… 続きを読む

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かみゆ歴史編集部

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歴史コンテンツメーカー

歴史関連の書籍や雑誌、デジタル媒体の編集制作を行う。ジャンルは日本史・世界史全般、アート、日本文化、宗教・神話、観光ガイドなど。おもな編集制作物に『日本の山城100名城』(洋泉社)、『一度は行きたい日本の美城』(学研)、『戦国合戦パノラマ図鑑』(ポプラ社)、『系図でたどる日本の名家・名門』(宝島社)、『大江戸今昔マップ』(KADOKAWA)、『国分寺を歩く』(イカロス出版)など多数。お城イベントプロジェクト「城フェス」の企画・運営、アプリ「戦国武将占い」の企画・開発なども行う。公式サイトはwww.camiyu.jp

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