戦略実行とコミュニケーション(第1回)

「市場を構造的に見る」ことが、戦略を成功へ導く

2014.10.22 Wed連載バックナンバー

 はじめまして、富士ゼロックス総合教育研究所の牧です。当社は「戦略実行」をテーマに毎年研究成果を発表してきていますが、筆者は企業の幹部候補生に対するビジョン立案や経営課題の形成、新規事業の立案をテーマにした人材育成を通して、彼らの戦略立案の実態を見てきました。

 この経験から感じていることは、彼らの市場をとらえる視座が低く、市場を把握できていないということです。今回は「市場を構造的に見る」ということについて述べます。特に日本企業が成長の段階から成熟、グローバル化の段階に移行している今こそ、市場の構造をよく知る必要が増しています。

 

戦略を立案するには、未来の市場を知る必要がある

 戦略は、未来の市場へ向けて計画するものです。かつ、戦略は環境に対応していくものですから、未来の市場環境を知る必要があります。しかし未来の市場をどのように知ればよいのでしょうか。

 未来は現在を原因とする「結果」であると同時に、現在と未来の間で突然変異したものを原因とした結果です。ですから、まずは現在の市場がしっかりと見えていなければなりません。そして次に、突然変異しそうなものを見つけておく必要があります。

 

全体の構造をしっかりと見る

 現在をしっかりと見るとはどのようなことなのでしょうか。それは「構造的に見る」ということなのです。社会の現象はさまざまな要因が影響し合って起きています。ものごとをMECE(だぶりなく、もれなく)に見るだけでは、1つ1つの要因を個別に見ているだけで、要因どうしがどのようにつながって相互にどのような影響を与えているのかは分かりません。つまり構造的には見えていないのです。

 たとえば簡単な事例でいえば、日本市場に低価格で製品を供給できるのは、新興国の低い人件費という要因があります。新興国の経済が発展すれば人件費も上昇し、製品の価格も上がらざるを得ません。

 このように構造的に見るというのは、「さまざまな要因がどのように絡まって物事を出現させているのか」を知るということなのです。このような視点で現在をしっかりと見ることが重要なのです。

 現在の構造を見ることができたら、次には、「各要因がこれからどのように変化していくのか」を考えます。さまざまな要因が絡まったままの状態で、全体がどのように変わるだろうと考えるよりは、全体を構成する要因のあるひとつに絞って考えるほうが、複雑さは格段に低くなります。

 ある要因の変化を考えることができたら、要因はお互いにつながっていますから、変化の影響を考えていくとそれが全体の変化につながっていきます。また要因が持つ特性によっては、突然変異の兆しを見つけることができるでしょう。

 

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牧 満

牧 満

株式会社富士ゼロックス総合教育研究所 コンサルティング営業3部 エグゼクティブコンサルタント

1986年富士ゼロックス株式会社入社。教育事業部配属後、事業部独立にあたっての営業戦略立案を担当(現富士ゼロックス総合教育研究所)。マーケティング、経営企画部門長を歴任し、現在は幅広い業種のお客さまに営業、マーケティング、事業戦略分野のコンサルティングを提供。

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