日本発の技術・アイデアが新市場を拓く(第2回)

屋内で野菜を育てる「植物工場」が続々登場

2014.08.19 Tue連載バックナンバー

 野菜は自然の中で太陽の光を浴びながら作るもの。そんな常識が今、大きく変わろうとしている。湿度も温度も完全管理された室内で、蛍光灯やLED(発光ダイオード)を使った照明の光を浴びせて野菜を作る「植物工場」が日本各地に立ち上がっては、新鮮な上に安全な野菜を市場へと送りだしている。

 環境に左右されない植物工場のノウハウをひっさげ、乾燥地帯や冷寒地といった野菜作りの難しかった場所へと売り込みに行こうとする動きも。ハイテク産業が海外勢に押されて衰退の一途をたどる中で、植物工場は日本の製造技術や情報通信技術を結集させた新しい産業として成長が期待されている。

 

柏に日本最大規模の植物工場

 千葉県柏市の常磐自動車道柏インターチェンジそばで今年6月、一棟の植物工場がその業務をスタートさせた。密閉された建物の中では、何段にも組み上げられた棚の上で、レタスやグリーンリーフといった野菜が、蛍光灯やLEDの光を浴びながらすくすくと育っている。生産量は実に1日1万株。野菜を育成する仕組みを開発した総合デベロッパーの三井不動産が、これを販売するベンチャー企業のみらいと共同設置した国内最大級の植物工場「柏の葉第2グリーンルーム」の姿だ。

 会社が設立された2004年以来、みらいは植物工場の研究開発を手掛け、この分野をリードしてきた。嶋村茂治社長の出身校である千葉大学と連携、同大柏の葉キャンパスに植物工場を作って肥料濃度のほか、温度や二酸化炭素濃度を完全管理し、日産3,000株近い野菜を生産するプロジェクトを達成。柏の葉にあるショッピングモール「ららぽーと柏の葉」や、南極の昭和基地などにも小型の植物工場を設置して、どこでも野菜が作れることを実証してきた。その技術に目を付けたモンゴルからも誘われ、凍てつく冬のモンゴルでも生産できる植物工場を設置した。

 一方の三井不動産は、「地域の食の自立」という課題に取り組む中で、環境に左右されずに野菜が作れる植物工場の仕組みに着目。「ららぽーと柏の葉」への“工場進出”を経て本格的な植物工場の建設に乗り出し、「柏の葉第2グリーンルーム」を設立した。グループの三井ホームが持つ木造でありながら断熱性、気密性を持った建物を造る技術を応用し、150坪の広さがありながら柱のない空間を2つ持った工場施設を完成させ、そこにみらいが持つ野菜工場のプラントを導入した。安心な住まいに加えて、安心な食も得られる地域というコンセプトを提案することで、総合デベロッパーの業務に付加価値が着けられる。環境への配慮と並んで食への不安の解消も、今後は地域開発の上で重要な要素となっていきそう。そこで植物工場が大きな役割と果たす。

 

半導体のクリーンルームが植物工場に

 日本では、こうしたデベロッパーにも増して、電機メーカーによる植物工場への進出が相次いでいる。… 続きを読む

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産経デジタル

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