日本発の技術・アイデアが新市場を拓く(第1回)

下請け企業、伝統工芸から生まれる“日本独自”の製品

2014.08.18 Mon連載バックナンバー

 「鴨川ホルモー」の万城目学と同様、ボイルドエッグズ新人賞からデビューした徳永圭の最新小説「その名もエスペランサ」(新潮社刊)は、大手自動車メーカーの下でエンジン部品を製造している工場が、スペインにある自動車メーカーにエンジンを輸出しようと苦闘する物語だ。下請けに甘んじず、エンジンという“製品”を送り出すメーカーになりたいと願い、全社を挙げてプロジェクトに取り組む姿が、希望違いの職種に手違いで派遣された主人公の女性事務員だけでなく、読む人にもモノ作りへの情熱を抱かせる。

 そして、自分たちならではの何かを世に問いたいという思いを抱き、日々の仕事に取り組む企業は、小説の中だけでなく現実にも少なからず存在する。

 

炭素繊維と京都西陣織が融合したカバン

 内外のインテリア関連商品が集まる国際的な見本市「インテリアライフスタイル」の会場に、ビジネスマンが似合いそうな黒いバッグや名刺入れ、スタイリッシュなデザインの壁掛け時計などを並べたブースがあった。

 それだけなら普通の光景だが、ブースの出展主が普通とは違っていた。スターライト工業。大阪市旭区に本社を置くこの会社は、産業機械の大型圧縮機で使うピストンリングや、鉄鉱メーカー向けの圧延機用水切りワイパーエプロン、造船業向けのラダーベアリングといった、日本の基幹産業の製造現場に欠かせない部品を作り納めている。産業用の樹脂製ヘルメットを日本で初めて開発し、重たい“鉄兜”から作業員を解放したのもこの会社だ。

 そんなスターライト工業が、本格的にお披露目したのが黒いバッグや財布、名刺入れ、壁掛け時計といった品々。「どうして?」といった好奇心からブースに近づくと、理由の一端が見えてきた。… 続きを読む

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産経デジタル

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産経新聞グループ各媒体のウェブサイト運営、ポータルサイト・モバイル端末などへのニュースコンテンツなどの配信を手がけています。ウェブでも国内最大級のニュースサイト「MSN産経ニュース」などを運営する産経新聞グループの記者が「Bizコンパス」のために書き下ろした、ここでしか読めない記事です。

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