マレーシアを狙え!(第1回)

マレーシア懐柔に動く中国、その狙いとは

2014.07.19 Sat連載バックナンバー

 3月8日、クアラルンプールから北京に向けて飛び立ったマレーシア航空370便が消息を絶って4か月あまり。航空史上最大の謎といわれるこの事件をめぐっては、経済を軸に連携を強めてきた中国とマレーシアの関係が揺れた。だが、5月に入ると潮目が変わる。中国は強硬姿勢から一転、事件を逆手に来年から東南アジア諸国連合(ASEAN)の議長国となるマレーシアの懐柔に動き出した。

 失踪機には150人を越える中国人観光客が搭乗しており、マレーシア当局の対応に苛立ちと怒りの声をぶつけるのは、遺族にとどまらず、中国のネット世論にも広がった。火に油を注いだのは、マレーシアのナジブ・ラザク首相が示した「370便は墜落した」との見方。北京のマレーシア大使館前で抗議する群衆が武装警察と衝突するなど、中国社会の不満は沸点に達した。

 この余波が直撃したのはマレーシアの観光業界だ。中国は昨年、富裕層を中心に180万人近い観光客をマレーシアに送り込んだ。経済の急速な発展を背景として近年、余暇を海外で過ごす中国人が急増しているが、マレーシアでは昨年の入国者数が国境を接するブルネイ(約124万人)やタイ(116万人)を抜いて第3位に浮上。富裕層の旺盛な消費意欲もあり、マレーシアの関係業界は“中国人特需”に沸いた。

 ところが、マレーシア機が失踪した3月以降、中国人観光客のマレーシア渡航に急ブレーキがかかった。日本でも、尖閣諸島の国有化に反発する中国からの観光客が急減しているが、マレーシアの観光当局者によると「中国人観光客はざっと90%減。渡航先をベトナムなどに変更しているが、この状況が続けば、外国人旅行者の誘致倍増を目指す政府の観光政策は根底から崩れ、業界は大打撃を受ける」と不安顔を隠せない。… 続きを読む

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産経デジタル

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