弁護士が語る!経営者が知っておきたい法律の話(第8回)

育てた社員がライバルに!?競業のリスクを防ぐ方法

2014.10.28 Tue連載バックナンバー

 企業が独自に保有している情報や技術といった「営業秘密」が、他社の手にわたってしまってしまうことは、継続してビジネスを送っていくためには、絶対に避けたいところです。

 この営業秘密が不当に持ち出される危険性については、本連載の第2回「『営業秘密』を不当に持ち出されてしまう前に」で述べました。今回は、実際に営業秘密を持ち出しているかどうかには関係なく営業秘密流出の危機を防ぐことができる手段「競業避止義務」について、詳しく考えてみましょう。

 競業とは「営業上の競争をすること」を指します。具体的にいえば、従業員が自社と競合する企業に就職したり、自ら競合する商売をする場合が「競業」に該当することになります。競業は、自社での従業員教育を無駄にし、場合によっては営業秘密が自社以外で使われることにもなるため、競業された側の企業にとってマイナスにしかなりません。

 この対策として、従業員が競業をしないことを約束する「競業避止義務」を課す必要があります。そうしなければ、企業は安心して従業員教育をしたり、営業秘密を開示することができません。

 では、従業員が退職した後に、競業避止義務を課すことができるのでしょうか。もしかしたら、「当然課すことができるだろう」と思っている方もいるかもしれませんが、実はこの競業避止義務は、元従業員の自由な職業選択の自由(憲法22条1項)を制限することになるため、簡単に認められるものではありません。

 

在職中の競業避止義務~懲戒処分の活用~

 それではどんな場合に競業避止義務は認められるのでしょうか。

 まず在職中の従業員は、特別な合意をするまでもなく、当然に競業避止義務を負っています。

 先ほどふれたように、競業に従事することは、企業の競争力を減殺することにつながります。そのため、在職中の従業員は、労働契約の付随的な義務として、競業避止義務を負うのです。

 もっとも、無用な紛争を防ぎ、いざというときに懲戒処分を行うためには、あらかじめ就業規則で、競業禁止や競業の内容について明記をしておくことが重要です。

 就業規則の定め方としては、競業避止義務を直接定める方法や兼業を禁止する方法があります。兼業禁止を定める場合、競業以外の職種も禁止することができます。しかし、企業秩序に反するような場合、本来の労働に影響が出るような場合しか禁止ができません。あまり縛りすぎると、従業員の私生活への不当な制約になってしまいます。… 続きを読む

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本間 由也

本間 由也

こだまや法律事務所 代表弁護士 /税務調査士

1982年生まれ。2004年明治学院大学法学部法律学科卒業、2007年明治学院大学法科大学院法務職研究科法務専攻卒業。翌2008年に司法試験合格。紀尾井町法律事務所での勤務を経て、2011年1月法テラス西郷法律事務所初代所長に就任。2014年2月こだまや法律事務所を東京都国分寺市に開所、現在に至る。

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