戦略を実行する正しい理解とコミュニケーションとは(第2回)

なぜ戦略は理解されないのか、そのメカニズムに迫る

2014.06.22 Sun連載バックナンバー

 前回の記事では、戦略の実行において、そもそも「正しい理解」がされていないという、最初の段階でつまずいているケースが非常に多いことに触れました。それでは、どうすれば戦略の正しい理解が進むのでしょうか? 今回は理解を阻害するキーワードとメカニズムから、正しい理解を促進させるやり方をお伝えします。

 

戦略理解に立ちはだかる2つの壁――メンタルモデルとスキーマ

 戦略を正しく理解するためには、これから述べる「2つの壁」を乗り越える必要があります。

 1つ目の壁は「メンタルモデル」です。人はものごとを理解する際に、自分がこれまでに記憶したことや覚えている概念に従って理解しようとします。この思考のことを、認知心理学の用語でメンタルモデルといいます。【図1】

 メンタルモデルは、さまざまな情報を類型化して認識するため、素早い判断や行動ができる点が特徴です。「一を聞いて十を知る」ことができるのも、メンタルモデルがあるためです。人間が備えている素晴らしい機能のうちのひとつです。

 しかし状況によっては、メンタルモデルは悪影響をもたらすこともあります。いわゆる“先入観”です。たとえば、よくミスをしている人が上司に呼び出されている場面を見ると、本当はほめられていても「あいつ、また何かミスしたな」と勝手に思われてしまい“ミスをする人”という印象が勝手に強化されてしまいます。メンタルモデルは「理解しやすい」というメリットがあるものの、その記憶によりズレが生じ、正しい理解ができないというデメリットもあります。

 メンタルモデルに続く2番目の壁は「スキーマ」です【図2】。

 スキーマ(Schema)とは、認知心理学ではメンタルモデルと同様、ものごとを型にはめて思考することを意味しますが、加えて、そのことに対する態度を一瞬で決めてしまうことも含まれます。メンタルモデルが自身の経験を元とした「認識の枠組み」である一方、スキーマは「無意識の心の働き」といえるでしょう。

 スキーマが厄介なのは、… 続きを読む

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河村 亨

河村 亨

株式会社 富士ゼロックス総合教育研究所 コンサルティング部戦略実行コンサルティングG  

1990年富士ゼロックス総合教育研究所に入社。外部一般企業に対する営業力強化を中心とした企画提案を実施後、2004年よりSFA定着含む、営業成果を創出するためのシステム、制度、教育の一貫コンサルティング事業に従事。2009年より、特に「戦略実行」をテーマに、経営⇔現場、営業⇔関連部門を“つなぐ”組織変革支援コンサルティングを展開、現在に至る。

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