なぜ戦略は実行されないのか(第2回)

どうすれば、組織の足並みを揃えることができるのか

2014.04.30 Wed連載バックナンバー

 “なぜ戦略は実行されないのか、どうすれば実行できるのか”この3回のシリーズでは、トップの方針と現場のメンバーをつなぐミドル層に焦点を当て、独自データを使って考えます。

 今回は連載第2回目になります。第1回目では、次のようなことをお伝えしました。

 戦略を実行するためには、ミドルマネジャーのマネジメントには2つの側面が必要です。ひとつは「戦略のマネジメント」であり、簡単に言えばメンバーに方向を示す機能です。上位戦略を受けて部門戦略を立て、実施状況をモニタリングし、期末にレビューするというものです。そしてもうひとつは「人・組織のマネジメント」であり、メンバーを前進させる機能です。メンバーを支援したり動機づけたり、あるいは動きやすい環境を整えるなどが具体的なマネジメントです。

 「戦略のマネジメント」だけだと、メンバーは向かうべき方向は分かってくれますが、もうひと頑張りしようと思ってくれません。反対に「人・組織のマネジメント」だけだと、どのメンバーも精いっぱい頑張りますが、ベクトルが揃っていないので、個々人の努力が組織全体のパワーになりません。当たり前のことですが、戦略実行マネジメントにはこの両方の側面が必要なのです(図1)。

 連載第2回目では、「戦略のマネジメント」について説明します。総花的に説明してもあまり価値はないでしょう。ここでは、いまミドルマネジャーが直面している課題に関連して、1つだけ説明いたします。

 

部門戦略策定時のミドルの悩みは……

 ミドルマネジャーは、部門戦略を策定するときに、どんなことに悩んでいるのでしょうか。このことを調べるために、84人のミドルマネジャーに対する定性調査を実施しました(調査結果は、富士ゼロックス総合教育研究所『人材開発白書2012』にまとめられています)。

 この84人は普通のミドルではありません。協力企業27社の人事担当者にお願いして、各社で優秀なミドルを推薦していただきました。これは、本人の能力・スキル不足による要因を排除したかったからです。

 さて、調査で得られた定性コメントをKJ法の要領で整理し、回答件数が多い順に並べたものが、図2です。優秀なミドルであっても色々なことに悩んでいます。… 続きを読む

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坂本 雅明

坂本 雅明

株式会社富士ゼロックス総合教育研究所 研究室長 首都大学東京大学院ビジネススクール非常勤講師

1992年NEC に入社。コンサルティングファームを経て、2006年に富士ゼロックス総合教育研究所入社。戦略策定・実行プロセスの研究および戦略策定研修を担当。一部上場企業の顧問として中計策定や新事業開発、関連会社の再建支援にも携わる。上智大学卒業、一橋大学大学院修士課程修了(MBA)、東京工業大学大学院博士後期課程修了(博士(技術経営))。一橋大学イノベーション研究センター研究員(05~06)。

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