上げ潮春闘の結末(第2回)

満額避けたトヨタの計算 まだら模様の自動車

2014.03.22 Sat連載バックナンバー

 好業績に支えられ、ベースアップ(ベア)に相当する賃金改善の全社満額回答も期待された自動車各社の春闘だったが、ふたを開けてみれば満額回答したのは、他社に先がけ「満額」を表明した日産自動車だけだった。今期2兆4,000億円の営業益を稼ぐ見通しのトヨタ自動車ですら、ベアは4,000円の要求に対し2,700円止まり。軽自動車大手のスズキとダイハツ工業にいたっては組合平均で800円だった。自動車各社の回答の裏側に何があったのか。

 「組合員の皆さんの努力と頑張りになんとか応えたい。ただ、仕入れ先、販売店の皆さんや、(工場閉鎖など事業縮小する)オーストラリアをはじめ、ともに頑張っている世界中の仲間から、そして世間からどのように受け止められるか」

 トヨタ自動車の労使協議会の報告書には、今回の経営側から満額ではなく、ベア2,700円とした回答理由がこう記載されていた。

 

満額なら「下請け置き去り」懸念

 「超円高下での、従業員の創意工夫が今回の好業績を生んだ」との思いは、トヨタならずとも、各労使の一致した意見。ただ、トヨタが満額近くで着地すれば、2次、3次の下請け企業が置き去りになる恐れがある。一方で、他業界に見劣りする額では「内部留保をため込み、相場を引き下げているとの批判を受けかねない」(業界関係者)。ベア2,700円は、定期昇給分7,300円を合わせると、21年ぶりに1万円に乗る。「ギリギリの着地点」だったと3月12日の会見で、宮崎直樹専務役員は説明した。

 ただ、1万円という金額は、「日産の満額回答が大きく影響した」との見方も少なくない。… 続きを読む

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産経デジタル

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