経営者が知っておきたいビジネス理論入門(第98回)

大塚家具とTKP、異色の提携に集まる期待と不安

2017.11.17 Fri連載バックナンバー

なかなか立ち直りの兆しが見えない大塚家具

 11月6日、大塚家具の2017年12月期第3四半期の決算が発表されました。

 売上高は前年同期比9.1%減の312億円、営業損失は前年同期より拡大し41億円弱の赤字。最終損益に至っては多額の事業構造改善引当金を計上した影響で大幅に悪化し、58億円と事業規模に対して巨額の損失が発生しています。

 残すところ3カ月間となった通期では、売上高428億円、営業損失44億円、最終損失63億円を着地点としているため、売上高で116億円を積み上げ、損失を営業段階で3億円、最終段階で5億円までに抑えねばならず、現状の大塚家具にとってはかなり高いハードルをクリアしなければならない状況だといっても過言ではないかもしれません。

 同じく11月に入って発表された10月の月次売上情報では、前年同月比28.2%の売上減を記録するなど深刻な不振から立ち直る気配さえ感じられません。特に関東と関西という日本の2大都市圏での販売不振が際立っており、関東では32.4%、関西では30.6%の売上減となっている状況を踏まえても、通期の目標達成はこの11月と12月の2ヶ月間の頑張りにかかっていることが見て取れます。

 

大塚家具がTKPとの突然の提携を発表!

 そんな危機的な状況の中、大塚家具は突如、株式会社ティーケーピー(TKP)との業務資本提携を、11月6日に発表します。

 TKPは2005年設立の新興企業ですが、貸会議室の事業で急成長し、2017年3月には東証マザーズに株式の上場を果たしています。最近では貸会議室事業に留まらず、ホテルの宴会場運営や飲食・ケータリング事業、ホテル&リゾート事業にまで事業ポートフォリオを拡大し、『空間再生流通企業』というコンセプトでさらなる事業拡大を目指している今勢いのある企業のうちの一社といえるでしょう。

 あまり接点が考えられない両社の突然の業務資本提携には驚かされた方も多いと思いますが、ニュースリリースに記されていた以下の狙いについては、確かに一理あります。

 『ホテル・宴会場・貸会議室運営ビジネスを起点に不動産にある空き空間を有効活用し、付加価値を加え、新たな価値を創造するTKPと、総合インテリア企業として、世界中の優れた商品を、リーズナブルな価格と充実したサービスとともに提供をしてきた大塚家具の両社グループが保有する経営資源を有効活用し、新たな事業機会を創出し、既存ビジネスの連携強化を図ることを目的としております』

 提携の効果が、早期に発揮される可能性も十分に考えられます。まずは、TKPが運営する施設のインテリアに大塚家具の商品を導入したり、相互の顧客を紹介し合ったり、大塚家具の店舗の空きスペースをTKPがイベントや会議室として貸し出したりすることで両社の関係を深めていくようです。

 

提携に対する両社の期待はどこにあるのか?

 さて、異色な企業の業務資本提携ですが、両社はお互いにどのような期待を抱いているのでしょうか? ここで戦略的な背景について、推測していくことにしましょう。

 まず大塚家具にとっては、TKPと業務資本提携するメリットとして、… 続きを読む

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安部 徹也

安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

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